『あやうく一生懸命生きるところだった』の内容・評判・名言を2026年版で徹底解説
「毎日こんなに頑張っているのに、なぜ幸せになれないのだろう」。仕事や人間関係、将来への不安を抱え、知らないうちに自分を追い込んでしまう人に読んでほしいのが、韓国の作家ハ・ワンによる人生エッセイ『あやうく一生懸命生きるところだった』だ。
本書は、40歳を目前に会社を辞めた著者が、自分の人生を振り返りながら「一生懸命生きることが、本当に幸せにつながるのか」を問い直した作品。韓国で25万部を超えるベストセラーとなり、日本でもダイヤモンド社から翻訳出版された。全4章には、努力と成功の関係、仕事との距離感、自分らしい時間の使い方、理想に縛られない生き方など、日々の息苦しさを軽くするヒントが詰まっている。
2026年現在も読者の感想が寄せられている本作について、あらすじ、著者の退職理由、目次と各章のテーマ、名言、評判まで詳しく整理する。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 作品の内容: 頑張りすぎる人生を見直し、他人の評価や社会の正解に縛られずに生きる方法を考える人生エッセイ。
- 著者の決断: ハ・ワンは40歳を目前に、明確な計画を持たず会社を退職。一生懸命生きることをやめる実験を始めた。
- 韓国での実績: 韓国で25万部を突破したベストセラー。日本語版は2020年1月にダイヤモンド社から刊行された。
- 全4章のテーマ: 努力への疑問、自由な時間、仕事と生活、現状を受け入れることの4つが中心。
- 読者へのメッセージ: 頑張ることを否定するのではなく、頑張らなければ価値がないという思い込みから自由になること。
【作品の内容】『あやうく一生懸命生きるところだった』のあらすじと基本情報

『あやうく一生懸命生きるところだった』は、韓国語の原題『하마터면 열심히 살 뻔했다』を日本語に翻訳したエッセイ作品だ。
一般的には、努力すること、目標を達成すること、周囲から評価されることが、人生の成功につながると考えられがちだ。しかし、著者のハ・ワンは、その価値観に疑問を投げかける。
どれだけ努力しても、望んだ結果が得られるとは限らない。人と比較して自分の不足ばかりを探していれば、いつまでたっても満足できない。そうした人生の苦しさを、著者自身の失敗や日常の出来事、ユーモアを交えたイラストとともに描いている。
本書の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | あやうく一生懸命生きるところだった |
| 著者 | ハ・ワン |
| 翻訳者 | 岡崎暢子 |
| 出版社 | ダイヤモンド社 |
| 日本語版発行 | 2020年1月 |
| ページ数 | 288ページ |
| ISBN | 9784478108659 |
| ジャンル | 人生エッセイ・自己啓発・韓国文学 |
| 韓国での実績 | 25万部超のベストセラー |
| 構成 | プロローグ・全4章・エピローグ |
ダイヤモンド社の公式書籍情報では、韓国で25万部を超えたベストセラーとして紹介されている。日本語版は288ページで、著者自身によるイラストも作品の特徴だ。
単純な成功法則を教えるビジネス書とは異なり、著者が自分の人生で経験した挫折や迷いを出発点にしている。そのため、読者は誰かの成功体験を追いかけるのではなく、自分自身の生活を振り返りながら読み進められる。
どんな人に向けた本なのか
本書の中心にあるのは、努力を続けることに疲れてしまった人への問いかけだ。
例えば、次のような悩みを抱えている人には、共感できる部分が多い。
- 仕事を頑張っているのに達成感がない。
- 周囲と自分を比較して落ち込んでしまう。
- 年齢や収入、肩書などを気にしすぎている。
- 休日にも仕事や将来のことを考えてしまう。
- 何かを成し遂げなければ人生に価値がないと思っている。
- 本当は休みたいのに、怠けているようで罪悪感がある。
著者が提案するのは、こうした悩みを努力だけで解決しようとしないことだ。
人生には、自分の頑張りだけでは変えられない事情もある。だからこそ、思い通りにならない結果をすべて自分の責任にする必要はないという考え方が、本書を貫いている。
【著者プロフィール】ハ・ワンが会社を辞めた理由と人生の転換点
本書を理解するうえで欠かせないのが、著者ハ・ワン自身の人生だ。
ハ・ワンは韓国のイラストレーター、作家。会社勤めをしながらイラストレーターとしても活動し、少しでも多く収入を得ようと仕事に追われる生活を送っていた。
しかし、努力を重ねているにもかかわらず、自分の人生が思い描いたようにならないことに疑問を感じ始める。
40歳を目前にした退職の決断
ダイヤモンド社の著者紹介によると、ハ・ワンは会社勤めとイラストレーターの仕事を掛け持ちしていた。
一生懸命働き、収入を増やそうと努力していたものの、次第に「これほど頑張っているのに、自分の人生はなぜ満足できないのか」という思いが限界に達する。
そして、40歳を目前に、具体的な将来設計を持たないまま会社を辞めた。
2020年の朝日新聞「好書好日」のインタビューでは、40歳になったときに、それまでの努力を振り返って虚しさを感じたことを語っている。
著者にとって退職は、単なる転職や独立ではなかった。
それまで信じていた「一生懸命生きれば、人生は必ずよくなる」という考え方を、いったん手放してみるための決断だった。
退職後に直面した現実
会社を辞めれば、すぐに自由で充実した生活が始まるわけではない。
ハ・ワンはフリーランスのイラストレーターになったものの、仕事の依頼は思うように入らなかった。さらに、自分が絵を描くことをそれほど好きではなかったという事実にも気づく。
著者紹介には、貯金を取り崩しながら過ごしたことや、仕事を断ること、昼間からビールを楽しむことなどもユーモラスに紹介されている。
ここが本書の面白いところだ。
独立して成功した人が、自由な働き方の素晴らしさを語るだけの内容ではない。計画どおりにいかない生活や、自分の適性への気づきまで含めて描かれている。
著者のインタビューから読み取れる本当のメッセージ
朝日新聞のインタビューで、ハ・ワンは本書について、努力そのものを否定しているわけではないと説明している。
努力それ自体はいいことですが、「努力すればすべて何でもうまくいく」という態度は危険ですよね。
この考え方は、本書を読むうえで非常に重要だ。
努力して成果を得ることは悪くない。しかし、結果が出なかったときに「自分の努力が足りなかったからだ」とすべてを背負い込めば、自己嫌悪や燃え尽きにつながる。
著者は、個人の努力だけでは変えられない社会の仕組みにも目を向けている。
仕事や収入、社会的な評価など、個人の意思だけではどうにもならない問題まで、自分の能力不足として受け止めてしまう必要はないという視点だ。
ハ・ワンと岡崎暢子のプロフィール・関係性
本書には、韓国の著者と日本語版を成立させた翻訳者という、2人の重要な人物が関わっている。
| 人物・組織 | 役割 | 主な情報 |
|---|---|---|
| ハ・ワン | 原著者 | 韓国のイラストレーター・作家。会社を辞めた経験をもとに人生エッセイを執筆 |
| 岡崎暢子 | 日本語版翻訳者 | 韓日翻訳・編集者。女子美術大学芸術学部デザイン科卒業 |
| ダイヤモンド社 | 日本語版出版社 | 2020年1月に日本語版を刊行 |
| 好書好日 | 著者インタビュー媒体 | 2020年2月にハ・ワン本人へのインタビューを掲載 |
| ダイヤモンド・オンライン | 出版関連媒体 | 訳者・岡崎暢子へのインタビューを掲載 |
岡崎暢子は1973年生まれ。女子美術大学芸術学部デザイン科を卒業し、高麗大学などで韓国語を学んだ韓日翻訳者・編集者だ。
ダイヤモンド社のインタビューでは、岡崎自身も本書に強く共感し、読んだことが自分の退職を考えるきっかけになったと語っている。
ただし、著者ハ・ワンの退職と翻訳者・岡崎の退職は別々の出来事だ。岡崎は、本を読んですぐに辞職を決めたのではなく、自分の悩みを整理する過程で本書の言葉に背中を押されたと説明している。
このエピソードは、本書が単なる海外の人気エッセイにとどまらず、日本の読者にも働き方を見直すきっかけを与えたことを示している。
【全4章を解説】目次から読み解く本書のテーマと読みどころ
『あやうく一生懸命生きるところだった』は、プロローグ、4つの章、エピローグで構成されている。
それぞれ独立したエッセイを読み進める形式だが、全体としては「努力への疑問」から始まり、「自分の時間」「仕事と生活」「自分を受け入れること」へとテーマが広がっていく。
第1章「こうなりたくて、頑張ってきたわけじゃない」
最初の章では、努力と人生の満足度について考える。
特に印象的なのは、何のために頑張っているのかを自分自身に問い直す視点だ。
学校を卒業し、就職し、収入を増やし、周囲から認められる。こうした社会で一般的とされる人生の進み方を、疑問を持たずに追いかけてしまうことがある。
しかし、目標を達成すること自体が目的になれば、自分が本当に望んでいることを見失ってしまう。
本章では、努力が必ず報われるとは限らないことや、人生に唯一の正解を求めすぎる危うさを取り上げている。
読みどころ: 努力を続ける前に、その努力が自分の望む人生につながっているのかを考え直すきっかけになる。
第2章「一度くらいは思いのままに」
第2章のテーマは、自分のために時間を使うことだ。
仕事や社会的な責任を優先していると、自由な時間は後回しになりやすい。旅行や趣味、何もしない休日でさえ、将来のために役立つかどうかを考えてしまう人もいる。
本章では、何もしない時間や一人で過ごす時間、無駄に思える経験にも価値があると説く。
特に注目したいのは、「ムダ足」についての考え方だ。
効率や成果だけを基準にすると、寄り道や失敗は避けるべきものになる。しかし、予想外の経験からしか得られない発見もある。
人生をすべて計画どおりに進めようとするのではなく、思いのままに行動してみることも大切なのだ。
読みどころ: 生産性や効率だけでは測れない、自分の時間の価値を再発見できる。
第3章「生きていくって、たいしたことじゃない」
第3章は、仕事とお金、社会との付き合い方に焦点を当てている。
特に興味深いのは、「やりたい仕事」を必死に探すことへの疑問だ。
世の中には、好きなことを仕事にするべきだという考え方がある。しかし、すべての人が好きなことを職業にできるわけではない。
仕事に人生のすべてを求めると、仕事が思いどおりにならないときに、自分の人生そのものまで否定してしまう可能性がある。
本章では、会社を辞めることや仕事との距離感、お金のために自由を犠牲にすることなどを題材に、生活の優先順位を考え直す。
また、「正解社会」に必要なのは多様性だという視点も重要だ。
他人と違う働き方や暮らし方を選んでも、それだけで間違いにはならない。
読みどころ: 仕事は人生を支える手段の一つであり、人生そのものと同一視する必要はないという考え方に触れられる。
第4章「あやうく一生懸命生きるところだった」
最後の章では、本書のタイトルにもなっているテーマが集約される。
思いどおりにいかないことを異常だと思わず、理想と違う現在の自分も受け入れてみる。
少しくらい遅れてもいい。若い頃に戻れなくてもいい。何かを失うことがあれば、別の何かを得ることもある。
こうした考え方を通して、著者は人生を結果だけで評価する姿勢から離れようとする。
特に重要なのが、結果とプロセスの関係だ。
社会では、成功したかどうか、どれだけ稼いだか、どのような立場にいるかといった結果が評価されやすい。
しかし、人生の満足度は結果だけでは決まらない。そこに至るまでの時間や経験、日々の小さな喜びにも目を向ける必要がある。
読みどころ: 完璧な自分を目指すのではなく、今の自分を認めることが、人生を楽にする第一歩になる。
プロローグとエピローグにも注目
プロローグのタイトルは「今日から、必死に生きないと決めた」。
そして、エピローグは「さよなら、一生懸命の人生」。
この構成からも分かるように、本書は単に仕事を辞めることを勧める内容ではない。
最初に著者が決意したことが、4つの章を通して少しずつ掘り下げられ、最後に人生との向き合い方としてまとめられている。
最初から最後まで読むと、タイトルに込められた皮肉と優しさの両方が伝わってくる。
【韓国で25万部超】なぜ本書は日本でも共感を集めたのか
本書が話題になった背景には、韓国と日本に共通する社会的な悩みがある。
朝日新聞「好書好日」が2020年2月に掲載した著者インタビューでは、韓国で25万部を超えたことに加え、日本語版の発行部数が発売直後に累計4万5000部に達したと紹介されている。
さらに、2020年7月のダイヤモンド・オンラインによる翻訳者インタビューでは、日本でも10万部を突破したことが伝えられた。
これらは当時の実績であり、2026年現在の累計販売部数を示す数字ではない。それでも、翻訳エッセイとして大きな反響を得たことは明らかだ。
韓国で話題になった理由
著者はインタビューで、成功したい、努力しなければならないという社会の価値観に疲れている人が多く、本音を表現したタイトルが共感を呼んだのではないかと振り返っている。
韓国では、受験、就職、結婚など、人生の節目で他人との比較や競争にさらされることが少なくない。
本書が支持されたのは、単に楽をすることを勧めたからではない。
「頑張っているのに報われない」という気持ちを、個人の能力不足だけで説明しないところに、多くの読者が救いを感じたのだろう。
日本でも共感が広がった背景
日本でも、仕事に対する責任感や周囲との協調、年齢に応じたライフステージなどを気にする人は多い。
そのなかで、本書のタイトルは非常に強い印象を残した。
「一生懸命生きるところだった」という表現は、通常なら肯定的に捉えられる努力を、あえて避けるべきもののように表現している。
この逆説的な言い回しが、読者の興味を引いた。
また、韓国では東方神起のユンホが本書を読んだことも話題になったと、朝日新聞のインタビューで紹介されている。著者自身も意外だったと振り返っている。
2026年から振り返る本書の実績
| 時期 | 出来事 | 意味・背景 |
|---|---|---|
| 韓国での刊行後 | 25万部超を記録 | 努力と競争に疲れた読者から支持 |
| 2020年1月 | 日本語版刊行 | ダイヤモンド社から発売 |
| 2020年2月 | 日本で累計4万5000部 | 朝日新聞のインタビューで紹介 |
| 2020年7月 | 日本で10万部突破 | ダイヤモンド社の訳者インタビューで紹介 |
| 2026年 | 電子書籍ストアに読者レビューが継続 | 時間が経過しても働き方や生き方を考える作品として読まれている |
本書の実績を考えるうえで大切なのは、販売部数だけではない。
著者の個人的な退職経験から生まれたエッセイが、国境を越えて読まれたという点に価値がある。
岡崎暢子自身も仕事を辞めるきっかけになった
ダイヤモンド・オンラインの2020年7月のインタビューでは、翻訳者の岡崎暢子が、本書を読んだことが自分の退職を考えるきっかけになったと明かしている。
岡崎は、タイトルの意外性だけでなく、誰もが心の中で感じていたことを著者が言葉にしてくれた点に魅力を感じたという。
興味深いのは、翻訳者自身もまた、仕事や人生に対する価値観を見直す読者の一人だったことだ。
これは本書が、単に海外の作家の特殊な人生を紹介するだけではなく、読む人自身の状況と重ね合わせられる作品であることを示している。
【名言・印象に残る言葉】努力しすぎない人生を考えるヒント
本書には、努力や成功、幸福について考え直すための印象的な言葉が登場する。
ここでは、出版社が公開している目次や著者インタビューで確認できる表現を中心に、内容の意味を整理する。
1.「努力は必ず報われるわけじゃない」
第1章に登場するテーマを象徴する言葉だ。
努力すれば必ず成功するという考え方は、分かりやすく、目標に向かう原動力にもなる。
しかし、現実には努力しても結果が出ないことがある。本人の能力や意欲とは別に、環境やタイミング、社会の仕組みなどが影響するからだ。
結果が出なかったときに、自分を責め続ける必要はない。
この言葉の大切なところは、努力を無意味だと決めつけることではなく、努力の結果だけで自分の価値を判断しないことにある。
2.「今日から、必死に生きないと決めた」
プロローグのタイトルにもなっている、本書全体の出発点だ。
必死に生きることが当たり前になっている人ほど、立ち止まることに不安を感じる。
しかし、何もしない時間を持つことや、競争から少し離れることは、人生を諦めることとは違う。
むしろ、自分が本当に大切にしたいものを見つけるための時間にもなる。
3.「少しくらい遅れたって気にすんな」
第4章のテーマを象徴する言葉だ。
周囲の人が結婚した、昇進した、家を買った、収入を増やした。そうした出来事を見ると、自分だけが遅れているように感じることがある。
しかし、人生には共通の締め切りがあるわけではない。
誰かの人生のペースを、自分の基準にする必要はないというメッセージが込められている。
4.「大切なのは『結果』ではなく『プロセス』」
本書の終盤で重要になる考え方だ。
結果だけを追いかけていると、目標を達成するまでの時間が苦痛になりやすい。
反対に、日々の経験や小さな楽しみに価値を見いだせれば、成功するかどうかだけに人生を左右されなくなる。
人生は、最後にどのような結果を得たかだけで評価できるものではない。
名言から見える本書の本質
これらの言葉に共通するのは、他人の評価や社会の基準から少し距離を置く姿勢だ。
本書のメッセージは、何も努力しなくていいということではない。
努力することが自分を苦しめるようになったとき、その方法や目的を見直してもいいという提案なのである。
【感想・評判を検証】読者が評価するポイントと注意点
『あやうく一生懸命生きるところだった』の評判を見ると、共感や安心感を評価する声がある一方、著者の考え方にすべて納得できるわけではないという意見も見られる。
2026年10月31日時点で確認できるソニーの電子書籍ストアのレビュー表示では、483件の評価があり、平均は3.7だった。
これは特定のプラットフォーム上の評価であり、すべての読者の意見を代表するものではない。ただ、長く読まれている作品の受け止められ方を知る参考にはなる。
良い感想で目立つポイント
1. 頑張りすぎなくてもいいと思える
本書の評価で大きいのは、読者が自分を責める気持ちから少し離れられることだ。
仕事で失敗したり、周囲と比較して落ち込んだりしたときに、努力不足だけが原因ではないと考えられるようになる。
自分の価値を成果だけで決めなくていいという考え方が、安心感につながっている。
2. 自分とは違う生き方を認められる
著者のように会社を辞めて自由に暮らすことができなくても、考え方を変えることはできる。
読者レビューでも、著者と同じ生活は難しいものの、自分らしい生き方を考えるきっかけになるという趣旨の感想が見られる。
3. 読みやすく、重いテーマをユーモラスに扱っている
人生や仕事の悩みを扱う作品だが、著者の率直な語り口とイラストがあるため、深刻になりすぎずに読める。
難しい理論を説明するのではなく、自分自身の失敗や日常を通じて考え方を伝えている点も特徴だ。
気になる感想・批判的な意見
一方で、すべての読者に合うわけではない。
1. 具体的な問題解決策が少ない
本書は、転職や退職の手順を説明する実用書ではない。
仕事がつらい場合に、どのような制度を利用すべきか、家計をどう管理すべきかといった具体的なノウハウを求めている人には、物足りなく感じられる可能性がある。
2. 著者の生き方をそのまま実践するのは難しい
会社を辞めて自由に暮らすという選択は、収入や貯蓄、家族の事情などによって実現可能性が異なる。
読者レビューにも、著者のような行動力に憧れる一方、将来を考えると簡単には仕事を手放せないという趣旨の意見がある。
3. 考え方が合わないと感じる人もいる
エッセイは著者の価値観が色濃く反映されるジャンルだ。
レビューには、序盤は共感できたものの、後半は文章が冗長に感じられたという趣旨の意見や、ユーモアの感覚が合わなかったという感想もある。
読者の評価を踏まえたおすすめ度
| 評価ポイント | 読者にとってのメリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 共感性 | 頑張りすぎる自分を見直せる | 悩みの原因は人によって違う |
| 読みやすさ | イラストと率直な文章で読み進めやすい | エッセイ特有の主観がある |
| 働き方 | 仕事との距離感を考えられる | 退職の実務的な方法は扱わない |
| 生き方 | 他人との比較を減らすヒントになる | すぐに価値観が変わるとは限らない |
| 実用性 | 日々の行動を見直すきっかけになる | 制度や家計の具体策は別途必要 |
この本をおすすめできる人・できない人
おすすめできるのは、努力を続けることに疲れている人、仕事とプライベートのバランスを見直したい人、他人の評価を気にしすぎてしまう人だ。
特に、何かを達成しなければ自分には価値がないと感じている人には、違う視点を与えてくれる。
一方、具体的な転職方法やキャリア形成の手順、収入を増やす方法を探している人には、別の実用書のほうが適している。
また、著者のように会社を辞めることだけを目的に読むのもおすすめできない。
本書の価値は、退職という行動そのものではなく、今の自分にとって何が本当に必要なのかを考え直すことにある。
【プロの結論】頑張らない生き方とは、人生を投げ出すことではない
『あやうく一生懸命生きるところだった』を読んで最も注目したいのは、「頑張らない」という言葉の意味だ。
一見すると、努力を否定する本のように思える。しかし、著者自身は努力そのものを悪いものとして扱っていない。
問題にしているのは、努力すれば必ず成功するという思い込みと、結果が出なかったときに自分を責め続ける姿勢だ。
この違いを理解すると、本書のメッセージはより実践的になる。
仕事を辞める前に見直したい3つのこと
本書の考え方を日常生活に取り入れるなら、次の3つを意識したい。
1. その努力は誰のためなのかを考える
周囲から認められるためだけに続けていることはないだろうか。
自分が本当に望んでいることと、他人から期待されていることを区別するだけでも、生活の優先順位は変わってくる。
2. 休むことに理由を求めすぎない
休日に何か有意義なことをしなければならない、何もしない自分は怠けている。そんな考え方を少し緩めてみる。
休息は、次の成果を出すためだけに必要なものではない。休むこと自体にも価値がある。
3. 結果だけでなく過程を評価する
仕事が成功したか、目標を達成したかだけでなく、その過程で何を経験したか、自分がどう感じたかにも目を向ける。
期待どおりの結果にならなくても、その経験まで無意味になるわけではない。
ただし、生活費や住居、家族への責任など、現実的な条件を無視して退職する必要はない。仕事を続けながら残業を減らす、休日の予定を入れすぎない、他人との比較を控えるといった小さな変更でも、本書の考え方は実践できる。
【あやうく一生懸命生きるところだった】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:『あやうく一生懸命生きるところだった』はどんな内容の本ですか?
A1:韓国の作家ハ・ワンが、自身の退職経験や失敗を振り返りながら、努力や成功、仕事、幸福について考える人生エッセイです。全4章を通じて、他人の評価や社会の常識に縛られず、自分らしく生きることの大切さを伝えています。
Q2:ハ・ワンが会社を辞めた理由は何ですか?
A2:会社勤めとイラストレーターの仕事を掛け持ちしていたものの、一生懸命働いても人生が思い描いたようにならないことに虚しさを感じたためです。40歳を目前に、具体的な計画を持たず会社を辞め、自分の生き方を見直す実験を始めました。
Q3:本書は全部で何章ありますか?
A3:プロローグとエピローグの間に、全4章があります。第1章は努力と人生の正解、第2章は自由な時間、第3章は仕事と生活、第4章は現状の受け入れ方が中心テーマです。
Q4:韓国では何万部売れた本ですか?
A4:日本語版の出版社情報と2020年の朝日新聞のインタビューでは、韓国で25万部を超えるベストセラーとして紹介されています。日本でも2020年2月には累計4万5000部、同年7月には10万部を突破したと報じられました。
Q5:『あやうく一生懸命生きるところだった』は仕事を辞めたい人におすすめですか?
A5:仕事を辞める決断を直接促す本というより、仕事に人生を捧げすぎていないかを考えるための本です。退職だけでなく、働き方や休み方、仕事に求めるものを見直したい人にもおすすめできます。
Q6:本書の翻訳者は誰ですか?
A6:韓日翻訳者・編集者の岡崎暢子です。女子美術大学芸術学部デザイン科を卒業し、高麗大学などで韓国語を学んでいます。ダイヤモンド社から2020年1月に刊行された日本語版を担当しました。
まとめ:自分の人生を他人の基準で評価しないために
『あやうく一生懸命生きるところだった』は、韓国の作家ハ・ワンが会社を辞めた経験をもとに、努力と幸福の関係を問い直した人生エッセイだ。
韓国で25万部を超え、日本でも2020年の刊行後に10万部を突破。岡崎暢子の翻訳によって、日本の読者にも広く受け入れられた。
全4章では、努力への疑問、自由な時間の大切さ、仕事との向き合い方、今の自分を受け入れることが描かれている。
2026年になっても、この作品が伝えるメッセージはシンプルだ。
頑張ることが悪いのではない。頑張り続けなければ幸せになれないと思い込むことが、自分を苦しめているのかもしれない。
会社を辞める必要も、人生を大きく変える必要もない。まずは、他人と比較する時間を減らすことや、何もしない休日をつくることから始めてもいい。
誰かの理想に近づくためだけに人生を使うのではなく、自分が心地よく過ごせる時間を大切にする。
本書は、そんな当たり前のようで忘れがちなことを、ユーモアと率直な言葉で思い出させてくれる一冊だ。
主な参照資料: ダイヤモンド社の公式書籍情報・著者紹介、朝日新聞「好書好日」のハ・ワン本人インタビュー、ダイヤモンド・オンラインの岡崎暢子インタビュー、ソニーの電子書籍ストアの読者レビュー。