【25卒・26卒を徹底比較】東大生の就職先ランキングはどう変わった?
東京大学新聞社が2025年8月2日に公表した25卒の調査と、2026年7月22日に公表した26卒の調査を比較すると、学部卒業者の就職先には明確な変化が表れている。
最も目立つのは、総合商社の三菱商事から、コンサルティング会社のベイカレント・コンサルティングへの首位交代だ。
25卒は三菱商事、26卒はベイカレントが首位

25卒の学部卒業者では、三菱商事が22人で民間企業の1位となった。アクセンチュアと三井物産が18人で同率2位、EYストラテジー・アンド・コンサルティングとマッキンゼー・アンド・カンパニーが17人で同率4位だった。
一方、26卒ではベイカレント・コンサルティングが27人で首位に躍進。前年の5人から22人増加し、31位から一気にトップへ浮上した。
2位はデロイト トーマツと三井住友銀行の18人、4位はEYストラテジー・アンド・コンサルティングの16人だった。
注目したいのは、三菱商事の変化である。25卒では22人で首位だったが、26卒では10人となり15位に後退した。
25卒・26卒の主要就職先と官公庁を比較
学部卒業者と大学院修了者を分けて整理すると、企業ごとの採用動向がさらに明確になる。
出典:東京大学新聞社の25卒・26卒就職状況調査。人数は民間企業・官公庁それぞれの報告集計。
この比較から分かるのは、東大の就職先が特定の企業だけに集中しているわけではないということだ。
上位企業にはコンサルティング、総合商社、金融機関が並ぶものの、年度によって順位は入れ替わる。特に26卒では、ベイカレントの増加と三菱商事の減少が対照的だった。
ただし、1社の順位が下がったからといって、その企業の人気や評価が同じ割合で低下したとは限らない。ここで示しているのは、あくまで当該年度の就職者数である。
【学部卒と大学院修了者の違い】アクセンチュアが強い理由とメーカーの存在感
東大の就職先を分析するうえで、最も見落とされやすいのが学部卒と大学院修了者の違いだ。
同じ東京大学でも、卒業後すぐに企業へ入る人と、大学院で専門性を高めてから就職する人では、選ぶ業界が大きく異なる。
学部卒はコンサル・金融・商社が目立つ
26卒の学部卒業者では、ベイカレント・コンサルティング、デロイト トーマツ、EYストラテジー・アンド・コンサルティングなどのコンサルティング企業が上位に入った。
金融分野では三井住友銀行、三菱UFJ銀行、野村證券、日本生命、東京海上日動火災保険などがランクインしている。
総合商社も根強い存在感を持ち、丸紅と三井物産はそれぞれ14人で同率5位となった。
学部卒の場合、経済・金融・経営に関連する知識を生かせる企業や、幅広い業界の経営課題に携わるコンサルティング企業が主要な進路となっている。
大学院修了者はメーカー・IT・研究開発へ
大学院修了者になると、就職先の構成が大きく変わる。
26卒の民間企業ランキングでは、アクセンチュアが42人で1位。5年連続の首位となった。
続く企業は次のとおりだ。
- 2位:三菱重工業(31人)
- 3位:野村総合研究所(29人)
- 4位:日立製作所(26人)
- 5位:デロイト トーマツ(25人)
- 6位:中外製薬(22人)
- 7位:NTTデータ(20人)
- 8位:LINEヤフー(19人)
- 9位:ソニー、ソフトバンク(各18人)
25卒でもアクセンチュアは27人で1位だった。26卒では42人に増えており、大学院修了者における継続的な採用実績が目立つ。
さらに東京大学の2026年3月修士課程修了者の業種別進路を見ると、製造業478人、情報通信業366人が上位を占める。
続いて金融・保険163人、学術研究・専門・技術サービス161人となっている。
学部卒の業種別では金融・保険や専門サービス、公務が目立つのに対し、修士修了者では製造業が最多となる。
この違いには、採用される職種の構造が関係している。メーカーの研究開発、先端技術、専門技術職では、大学院での研究経験や専門知識が求められることが多い。学部卒のランキングだけを見ていると、こうした理系人材の進路を見落としやすい。
アクセンチュアとベイカレントは同じ順位争いなのか
両社がランキング上位に入っているからといって、学部卒と大学院修了者の進路が完全に同じというわけではない。
ベイカレントは26卒の学部卒業者で1位となった一方、大学院修了者のランキングではアクセンチュアが首位を維持している。
つまり、東大生のコンサルティング業界への進出は、学部卒と大学院修了者の双方で確認できるものの、企業ごとの採用人数には違いがある。
企業名だけを見て就職先を比較するのではなく、どの学歴区分で、どの年度に、何人が入社したのかを確認することが大切だ。
【東大の学部別就職先】経済・法・理・工学部で進路はどう違う?
東大の就職状況をさらに詳しく見るには、学部別の進路を確認する必要がある。
2026年3月卒業者の進路では、経済学部と理学部・工学部の間に大きな違いが見られた。
経済学部は民間企業への就職が中心
2026年3月卒業の経済学部は、卒業者364人のうち323人が就職した。卒業者全体に占める就職者の割合は88.7%となる。
大学院への進学者は26人、7.1%だった。
就職先の業種を見ると、専門サービスが116人、金融・保険が104人で、この2分野だけで220人に達する。
つまり、経済学部ではコンサルティングや金融業界への進路が特に目立つ。
具体的な企業名としては、アクセンチュア、ベイカレント、三菱商事、三井物産、三菱UFJ銀行、三井住友銀行などが挙げられる。
法学部は官公庁への進路が目立つ
法学部は、経済学部とは異なる特徴を持つ。
2026年3月卒業者381人のうち、大学院進学は111人、就職は191人だった。
就職者のうち、公務が77人で最多となっている。
法学部で学ぶ法律、政治、行政に関する知識は、中央省庁や地方自治体、法律関連の専門職などにつながる。
官公庁への就職を考える学生にとって、法学部は代表的な進路の一つだ。
ただし、法学部の卒業生全員が公務員になるわけではない。金融、コンサルティング、情報通信など民間企業への進路も存在する。
理学部・工学部は大学院進学が中心
理学部と工学部は、学部卒業時点での就職率が比較的低い。
2026年3月卒業者のデータでは、次のようになっている。
- 理学部:大学院進学255人、進学割合83.3%
- 工学部:大学院進学779人、進学割合79.7%
- 農学部:大学院進学154人、進学割合69.4%
- 薬学部(4年制):大学院進学69人、進学割合94.5%
特に工学部は卒業者978人と規模が大きく、そのうち779人が大学院へ進んでいる。
理学部でも306人中255人が大学院進学を選択した。
研究開発や高度な技術職を目指す場合、学部卒業後も研究を続けることがキャリア形成につながるためだ。
文学部・教養学部・医学部にも独自の進路がある
文系・理系という二分法だけでは、東大の進路を十分に説明できない。
文学部は、コンサルティング、情報通信、金融・保険、官公庁など幅広い分野に就職先が分散している。
2026年3月卒業者の就職者は204人で、専門分野を生かした教育・研究関連だけでなく、一般企業への進路も確認できる。
教養学部は大学院進学95人、就職98人とほぼ半数ずつに分かれた。
医学部医学科では、卒業者105人のうち89人が臨床研修医となっている。一般企業への就職ランキングだけでは捉えられない、医療専門職への進路があるためだ。
このように、東大の学部別就職先を比較する際は、卒業者数だけでなく、進学者数や専門資格に関係する進路も確認する必要がある。
【財務省・官公庁への就職】東大生はなぜ国家公務員を目指すのか?
東大の就職先を語るうえで、民間企業と並んで重要なのが官公庁だ。
特に財務省、総務省、経済産業省、外務省、国土交通省などは、東大生の進路を考える際に注目される機関である。
25卒は財務省、26卒は総務省がトップ
25卒の学部卒業者では、財務省が17人で省庁別の最多となった。
そのほか、外務省、総務省、警察庁なども上位に入っている。
ところが26卒では、総務省が21人で首位となった。
2位は外務省と経済産業省がそれぞれ18人、財務省は14人で続いている。
財務省への就職がなくなったわけではなく、年度によって省庁別の人数が変動しているということだ。
26卒は官公庁への就職者が156人に増加
26卒では官公庁等への就職者数が156人となり、前年の125人から31人増加した。
地方自治体や日本銀行なども含む集計であり、中央省庁だけの人数ではない。
省庁別の順位を見ると、総務省、経済産業省、外務省などが存在感を示している。
大学院修了者では、国土交通省が14人で最多となり、4年連続の首位となった。
また、大学院修了者の官公庁等への就職者は120人だった。
財務省と総務省では仕事の方向性も異なる
官公庁を志望する場合、単純に東大生の就職人数だけで選ぶのは適切ではない。
財務省は国家予算、税制、国債、財政運営など、国の財政・経済政策に関わる業務を担う。
総務省は地方自治制度、行政制度、情報通信、地方財政など幅広い行政分野を担当する。
経済産業省は産業政策やエネルギー政策、外務省は外交・国際関係、国土交通省は社会インフラや交通政策などに関わる。
同じ国家公務員でも、担当する政策領域は大きく異なる。
東大生の官公庁就職を理解するには、就職者数だけでなく、各省庁が扱う政策分野と本人の専門性を合わせて考えることが重要だ。
国家公務員総合職試験の合格者数と実際の就職者数は別
もう一つ注意したいのが、国家公務員総合職試験の合格者数と、実際に官公庁へ就職した人数の違いである。
国家公務員総合職試験に合格しても、その後の官庁訪問や採用選考を経て、実際に採用されるとは限らない。
民間企業への就職や大学院進学を選択する人もいる。
そのため、国家公務員試験の大学別合格者ランキングと、東京大学新聞社が集計する実際の就職先ランキングは、別の統計として扱う必要がある。
【大学院進学率51.3%の実態】東大生の半数はなぜ就職しない?
2026年の東京大学の進路データで特に注目される数字が、大学院進学を含む進学者割合51.3%だ。
東京大学の2026年3月卒業者は3,100人。そのうち進学者は1,591人となっている。
卒業生の半数以上が学部卒業後も学び続ける計算だ。
51.3%は厳密には大学院だけの進学率ではない
この数字には一つ、重要な注意点がある。
1,591人という進学者数には、大学院への進学だけでなく、他学部への進学者40人も含まれている。
したがって、大学院への進学だけを厳密に計算する場合は、1,591人から40人を差し引いた1,551人となる。
卒業者3,100人に対する割合は約50.0%だ。
つまり、一般に紹介される51.3%は進学者全体の割合であり、大学院だけに限定した数字とは区別して理解する必要がある。
それでも、学部卒業者の約半数が大学院に進むという東大の特徴は明確だ。
2026年3月卒業者の進路内訳
2026年の進路を整理すると、以下のようになる。
- 卒業者:3,100人
- 進学者:1,591人(51.3%)
- 就職者:1,095人(35.3%)
- 臨床研修医:89人
- その他:287人
この数字から分かるのは、東大生の進路を就職先ランキングだけで評価すると、実態の一部しか見えないということだ。
学部卒業者の約3分の1が就職する一方で、大学院進学や医療専門職への進路も大きな割合を占めている。
大学院修了者も全員が民間企業に就職するわけではない
2026年3月の修士課程修了者は3,166人だった。
このうち博士課程などへの進学者は1,051人、就職者は1,805人で、就職割合は57.0%となる。
修士課程を修了してから博士課程へ進み、研究者や大学教員を目指す人もいる。
大学院修了者の就職先を調べる場合も、民間企業だけでなく、大学、研究機関、公務などを含めて考える必要がある。
東大新聞の進路データはどこで確認できる?
進路データをさらに詳しく調べたい場合は、東京大学新聞社の就職状況調査が参考になる。
25卒・26卒の調査では、各学部・研究科への問い合わせを基に、学部卒業者と大学院修了者の就職先を分けて集計している。
また、東京大学のキャリアサポート室では、東京大学新聞社の許諾を得た2017年度以降の学部・大学院別就職先一覧を閲覧できると案内されている。
東京大学の公式進路統計と東京大学新聞社の企業別ランキングを組み合わせれば、学部ごとの進路と企業別の就職人数を別々の角度から確認できる。
なお、両者は集計方法や対象年度が異なるため、単純に同じ母集団の数字として合算することはできない。
【東大就職先ランキングの落とし穴】数字を見るときの判断基準
就職先ランキングには、数字だけを追うと誤解しやすいポイントがある。
企業への就職人数は人気ランキングではない
東京大学新聞社の調査は、学生の報告などを基にした就職状況の集計だ。
企業への応募者数、内定者数、志望順位、入社希望者数をランキング化したものではない。
例えば26卒でベイカレントが1位になったからといって、東大生全体が同社を最も志望していたと断定することはできない。
実際の入社人数と、学生が希望する企業の人気ランキングは異なる指標である。
集計対象者と年度にも注意が必要
東京大学新聞社の25卒調査は、学部1,084人、大学院2,758人からの回答を基にしている。
26卒調査では、学部1,185人、大学院2,806人が回答した。
また、2024年度卒業・修了者には2025年3月卒業者だけでなく、2024年9月卒業者なども含まれる。2025年度卒業・修了者も同様に、2026年3月以外の修了者を含む。
さらに、各学部・研究科に報告されなかった人や、就職を辞退した人などは集計に反映されない場合がある。
そのため、ランキングの人数は大学の全卒業生を完全に網羅した確定的な採用統計とは異なる。
東大生の就職先を調べるときの判断基準
進路を比較する際には、次の4点を確認したい。
1. 学部卒か大学院修了者か: 同じ企業でも採用される学歴区分によって人数が違う。
2. 卒業年度はいつか: 25卒と26卒では企業別の順位が大きく変わる。
3. 実際の就職人数か人気順位か: 入社実績と志望企業ランキングを混同しない。
4. 企業別か業界別か: 個別企業の順位だけでなく、金融・保険、専門サービス、製造業、公務などの業界全体も見る。
東京大学にはキャリアサポート室が設置されており、キャリア相談やOB・OGとの交流、就職活動に関する支援を行っている。
ランキングを参考にしながら、卒業生の実際の仕事内容や専門性、キャリアの選択肢まで調べることが、納得できる進路選択につながる。
【東大就職先に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年最新の東大生の就職先1位はどこですか?
A1:2026年7月公表の26卒調査では、学部卒業者の民間企業1位はベイカレント・コンサルティングで27人、大学院修了者の1位はアクセンチュアで42人です。学歴区分によって首位が異なります。
Q2:25卒の東大生の就職先1位は三菱商事ですか?
A2:はい。25卒の学部卒業者では三菱商事が22人で1位でした。大学院修了者ではアクセンチュアが27人で首位となっています。
Q3:東大生は大学院に何%進学しますか?
A3:2026年3月卒業者の進学者割合は51.3%です。ただし、この人数には他学部への進学40人も含まれます。大学院進学だけで計算すると約50.0%です。
Q4:東大の経済学部で多い就職先はどこですか?
A4:2026年3月卒業者の業種別では、コンサルティングなどの専門サービスと金融・保険が中心です。具体的な企業にはアクセンチュア、ベイカレント、三菱商事、三井物産、金融機関などがあります。
Q5:東大法学部は官公庁への就職に強いですか?
A5:法学部は公務への進路が目立ちます。2026年3月卒業者では就職者191人のうち77人が公務に進みました。ただし、民間企業への就職や大学院進学を選ぶ学生もいます。
Q6:東大生の財務省への就職人数は何人ですか?
A6:25卒では17人で、省庁別の最多でした。26卒では14人となり、総務省の21人が最多となっています。
Q7:東大の大学院修了者に人気の就職先はどこですか?
A7:26卒ではアクセンチュア42人、三菱重工業31人、野村総合研究所29人が上位です。日立製作所やデロイト トーマツなども上位に入っています。
まとめ:東大の就職先は学部・大学院・専門分野で見極める
2026年の東京大学の就職状況から分かるのは、東大生の進路が単純な大企業志向だけでは説明できないということだ。
25卒の学部卒業者では三菱商事が首位だったが、26卒ではベイカレント・コンサルティングが27人で首位に浮上した。大学院修了者ではアクセンチュアが42人で5年連続の首位を維持している。
官公庁では、25卒の財務省から26卒の総務省へと最多の省庁が変わった。大学院修了者では国土交通省が引き続き存在感を示している。
学部別に見ると、経済学部は金融・コンサルティング、法学部は公務、理学部・工学部は大学院進学という傾向が明確だ。さらに、大学院修了者では製造業や情報通信業への就職が多くなる。
そして忘れてはならないのが、学部卒業者の約半数が進学を選んでいるという事実である。
【プロの結論】
東大の就職力を正しく理解するには、企業別ランキングの順位だけでなく、学部卒・大学院修了者の違い、学部ごとの進学率、業界別の採用動向を総合的に見る必要がある。
特に受験生や保護者は、三菱商事やアクセンチュアといった有名企業の名前だけで進路を判断するのではなく、希望する学問分野で何を学び、どのような専門性を身につけられるかを重視したい。
東大の進路データが示しているのは、特定企業への就職実績だけではない。研究者、技術者、経営人材、金融専門職、行政官、医療従事者など、学問の専門性に応じた多様なキャリアの広がりである。
2026年のランキングは、その実態を読み解くための重要な手がかりとなっている。