【医学的な基準】不妊症とは?子供を授からない状態の定義と実態
最初に理解しておきたいのは、妊娠しない期間が長いことと、医学的に不妊症と診断されることは必ずしも同じではないという点です。
日本産科婦人科学会では、不妊を「妊娠を希望する健康な男女が避妊をしないで性交しているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態」と定義しています。この期間は一般的に1年間とされています。ただし、明らかな不妊原因がある場合は、1年を待たずに検査や治療を始めることもあります。
世界保健機関(WHO)が2025年11月に公表した不妊症に関するファクトシートでも、12か月以上の定期的な避妊をしない性交渉で妊娠に至らない状態を不妊症としています。また、生殖年齢にある人の約6人に1人が、生涯のいずれかの時点で不妊を経験すると推計されています。この数字は世界全体の推計であり、日本国内の発生率を示すものではありません。
不妊症には、これまで一度も妊娠したことがない「原発性不妊」と、過去に妊娠した経験があるものの、その後妊娠しにくくなった「続発性不妊」があります。過去に自然妊娠や出産を経験していても、次の妊娠が順調に成立するとは限りません。
つまり、子供を授からないことは、単純に妊娠する能力がないという意味ではなく、排卵、受精、卵管内の移動、着床など、妊娠成立までの過程のどこかに問題が生じている可能性を示しています。
また、不妊は女性だけの問題ではありません。WHOも女性側、男性側、双方の要因、原因不明という複数の分類を示しています。妊娠を希望する場合は、男女双方の状態を確認することが診断の出発点になります。
出典:日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、WHOの不妊症に関する定義・解説。
【男女別に徹底解説】子供を授からない人に見られる身体的要因と共通点

子供を授かりにくい人に、性格や考え方、外見などの共通した特徴があるわけではありません。医学的に注目されるのは、生殖機能に関係する身体的な要因です。
妊娠は、女性の卵子と男性の精子が出会い、受精卵が形成され、子宮内膜に着床して初めて成立します。そのため、男女どちらか一方に原因がある場合だけでなく、双方に複数の要因が重なっている場合もあります。
女性側に考えられる妊娠しにくい原因
女性側の不妊原因は、主に排卵、卵管、子宮、ホルモンなどに分類されます。月経が毎月あるからといって、必ずしも正常に排卵しているとは限りません。
代表的な要因は次のとおりです。
- 排卵障害: 卵子が正常に成熟・排出されない状態。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)やホルモン分泌の異常などが関係します。
- 卵管障害: 卵管の閉塞や狭窄、癒着などによって卵子と精子が出会いにくくなる状態です。クラミジア感染症などによる骨盤内の炎症が関係する場合もあります。
- 子宮の異常: 子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮の形態異常などが妊娠成立に影響することがあります。
- 子宮内膜症: 子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所にできる病気で、卵巣や卵管周辺の癒着などにつながることがあります。
- 卵巣予備能の低下: 卵巣に残る卵胞の数が減少した状態。加齢のほか、卵巣手術や一部の治療なども関係します。
特に見落とされやすいのが、排卵障害や卵管の問題です。月経があることや、日常生活に支障がないことだけでは、卵管が正常に通っているかどうかまでは判断できません。
WHOは女性側の不妊要因として、卵管疾患、子宮疾患、卵巣の機能障害、内分泌系の異常などを挙げています。
男性側に考えられる妊娠しにくい原因
男性側にも、妊娠を妨げる医学的要因があります。日本生殖医学会の生殖医療Q&Aや日本産科婦人科学会の診療ガイドラインでは、男性不妊の原因を大きく次のように整理しています。
- 造精機能障害: 精巣で作られる精子の数が少ない、運動率が低い、正常な形態の精子が少ないなどの状態です。
- 精索静脈瘤: 精巣周辺の静脈が拡張する病気で、精子を作る機能に影響する場合があります。
- 精路通過障害: 精子は作られていても、精管などの通り道が閉塞して精液中に出てこない状態です。
- 性機能障害: 勃起障害(ED)や射精障害などによって、妊娠に必要な性交渉や精子の射出が難しくなる状態です。
- ホルモン異常: 精子の形成に関係するホルモンの分泌に問題が生じている状態です。
男性不妊では、精液中の精子濃度や運動率だけでなく、精子の形態や精巣の状態、ホルモン分泌なども評価します。
日本産科婦人科学会の2023年版診療ガイドラインでは、男性不妊の原因検索に泌尿器科医との連携を推奨しています。特に精索静脈瘤やホルモン異常、精路通過障害などには、治療できるものもあります。
男女双方に関係する要因もある
妊娠しにくさは、必ずしも女性か男性のどちらか一方に原因を限定できるものではありません。
例えば、女性側に軽度の排卵障害があり、男性側にも精子運動率の低下がある場合、単独では大きな問題に見えなくても、双方の要因が重なることで妊娠成立が難しくなる可能性があります。
年齢や生活習慣、慢性的な健康問題も男女双方に関係します。片方だけが検査や治療を受けても、もう一方に存在する要因を見落とす可能性があるため、最初から二人で取り組むことが望まれます。
男女別の原因と検査対象を整理
妊娠しにくさに関係する主な要因を、医学的な関係性からまとめると次のようになります。
このように、子供を授からない背景は多様です。特に重要なのは、男性側にも医学的な原因があり、女性側の検査だけでは妊娠しにくい理由を十分に把握できない場合があるということです。
【年齢と生活習慣】卵子の老化・精子の質・妊娠率に影響する要素
妊娠しやすさを左右する要因のなかでも、年齢は重要なものの一つです。さらに、喫煙、飲酒、体重、睡眠、運動などの生活習慣も、生殖機能や全身の健康状態に関係します。
女性は35歳前後から妊娠率の変化に注意
女性は生まれたときから卵子のもととなる細胞を持っており、年齢とともに卵子の数が減少していきます。また、加齢によって卵子の染色体異常が増え、受精や胚の発育、妊娠の継続に影響する可能性があります。
特に30代後半からは妊娠率の低下や流産率の上昇が目立ちやすくなります。ただし、35歳になった瞬間に妊娠できなくなるわけではありません。年齢による変化には個人差があり、年齢だけで妊娠の可否が決まるものでもありません。
国立成育医療研究センターが紹介する日本人女性1,324人を対象とした研究では、避妊を中止してから12か月以内に妊娠する累積確率は、年齢層によって次のような違いが報告されています。
日本人女性を対象とした2018年の研究結果
この研究は集団を対象にした統計であり、各年齢の人が必ずこの確率で妊娠するという意味ではありません。しかし、年齢が上がるにつれて妊娠成立までの期間が長くなりやすい傾向を理解する材料になります。
国立成育医療研究センターも、35歳を過ぎたら一律に不妊治療を開始すべきとはしていない一方、妊娠を希望する場合は早めに医療機関へ相談することを勧めています。
AMH検査の数値だけで妊娠できるかは判断できない
卵巣予備能を調べる検査として知られているのが、AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査です。血液検査によって、卵巣に残っている卵胞数の目安を確認します。
ただし、AMHは卵子の質を直接調べる検査ではありません。数値が低いからといって自然妊娠が不可能になるわけではなく、高いからといって妊娠しやすいと断定できるわけでもありません。
AMHは主に卵巣予備能や体外受精における卵巣刺激への反応を評価するために活用されます。妊娠の可能性を考える際には、年齢、排卵、卵管、精液所見などと合わせて判断する必要があります。
2026年8月発行の『産科と婦人科』でも、卵巣予備能検査は卵巣刺激への反応予測には役立つ一方、一般集団における将来の妊娠を単独で予測する検査としての意義は確立していないと整理されています。
男性も年齢とともに精子の状態が変化する
男性は女性と異なり、思春期以降も精子を作り続けます。しかし、年齢を重ねても精子の質が一定に保たれるわけではありません。
加齢に伴って精子の運動性やDNAの状態などに変化が生じる可能性があり、男性の年齢も妊娠成立や妊娠経過を考えるうえで無視できない要素です。
また、精子の状態は体調や禁欲期間などによっても変動します。一度の精液検査で数値が悪かったからといって、直ちに妊娠できないと判断することは適切ではありません。
妊娠率に関係する生活習慣とは?
生活習慣が妊娠に関係することは知られていますが、健康的な生活を送れば必ず妊娠できるという単純なものではありません。
妊娠を考える男女が見直したい生活習慣には、次のようなものがあります。
- 喫煙: 生殖機能や全身の健康に悪影響を与える可能性があるため、男女とも禁煙を目指すことが望まれます。
- 過度の飲酒: 飲酒量を見直し、妊娠を希望する場合は飲酒習慣について医師に相談することが大切です。
- 肥満や極端な痩せ: 体重の偏りはホルモンバランスや排卵機能に関係する場合があります。
- 睡眠不足: 睡眠時間と生活リズムを整え、慢性的な疲労を避けることが望まれます。
- 運動不足: 適度な運動を取り入れ、健康的な体重を維持することが大切です。
- 偏った食事: 極端な食事制限を避け、栄養バランスを意識した食生活を心がけます。
国立成育医療研究センターのプレコンセプションケアに関するチェックシートでも、男性に対して適正体重の維持、運動、禁煙、過度の飲酒の回避、十分な睡眠などが勧められています。
ここで注意したいのは、生活習慣を改善することと、不妊の医学的原因を治療することは別だという点です。例えば、卵管が閉塞している場合や精子を作る機能に重大な障害がある場合、食事や運動だけで問題を解決することはできません。
また、妊娠しない原因をストレスだけに求めるのも適切ではありません。精神的な負担は性生活や治療継続に影響することがありますが、ストレスがある人は妊娠できないという医学的な決めつけはできません。
【原因不明不妊の実態】検査で異常が見つからないのに妊娠しない理由
不妊検査を受けても、明確な異常が見つからないケースがあります。これが「原因不明不妊」です。
原因不明不妊は、妊娠を希望して1年以上経過しているにもかかわらず、排卵、卵管、子宮、精液などの基本的な検査で明らかな異常が確認されない状態を指します。
日本産婦人科医会の解説では、原因不明不妊は不妊症全体の10〜25%程度存在するとされています。決して珍しい状態ではありません。
なぜ検査で異常が見つからないのか
妊娠成立には、卵子と精子が出会うだけでなく、受精、胚の発育、子宮への移動、着床など、複数の段階が正常に進む必要があります。
一般的な不妊検査では、排卵の有無や卵管の通過性、精液の状態、子宮の形態などを調べます。しかし、これらの検査ですべての生殖機能を完全に評価できるわけではありません。
例えば、次のような要因は基本検査だけでは把握が難しい場合があります。
- 軽度の子宮内膜症
- 卵管周辺の細かな癒着
- 卵胞が正常に破裂しない黄体化未破裂卵胞
- 卵子と精子の受精過程に関する問題
- 胚の発育や着床に関係する問題
日本産科婦人科学会の『産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023』でも、原因不明不妊では基本検査で特定できない病態が存在することを説明し、必要に応じて追加検査を検討するよう示しています。
原因不明だから治療できないわけではない
原因が明確でない場合でも、妊娠を目指す治療の選択肢はあります。
女性の年齢、不妊期間、これまでの妊娠歴、検査結果などを踏まえ、一定期間のタイミング指導、排卵誘発、人工授精、体外受精などを検討します。
同ガイドラインでは、女性の年齢や不妊期間を考慮して、6〜12周期程度の待機療法、排卵誘発や人工授精、早期の生殖補助医療などを選択肢として示しています。
特に女性の年齢が高い場合や、不妊期間が長い場合は、漫然と同じ方法を続けるのではなく、治療方針を見直すことが大切です。
原因不明という診断は、妊娠の可能性がないという宣告ではありません。現在の検査で原因を特定できていないという意味であり、治療の過程で新しい情報が得られることもあります。
【不妊検査・治療の進め方】費用の目安と2026年の保険制度・最新動向
妊娠しにくい理由を知るためには、自己判断で生活習慣だけを改善するよりも、医療機関で男女双方の状態を確認することが重要です。
女性が受ける主な不妊検査
女性の検査は月経周期に合わせて実施されるものが多く、基本的な検査を一通り終えるまでに1〜3カ月程度かかる場合があります。
主な検査内容は以下のとおりです。
- 問診・内診: 月経周期、妊娠歴、既往歴などを確認します。
- 経腟超音波検査: 子宮、卵巣、子宮内膜の状態や筋腫、卵巣嚢腫などを調べます。
- ホルモン検査: FSH、LH、エストロゲンなど、排卵や妊娠に関係するホルモンを調べます。
- AMH検査: 卵巣予備能の目安を確認します。
- 子宮卵管造影検査: 子宮の形や卵管が通っているかを調べます。
- 感染症検査: クラミジアなど、妊娠に影響する可能性がある感染症を確認します。
検査の組み合わせは、年齢や症状、これまでの妊娠歴などによって異なります。
男性が受ける主な不妊検査
男性の基本的な検査は精液検査です。採取した精液について、量、精子濃度、運動率、形態などを確認します。
精液所見は、禁欲期間や体調などによって変動することがあります。日本産婦人科医会の解説でも、結果のばらつきを踏まえて複数回の検査を行うことが推奨されています。
異常が認められた場合は、男性不妊を専門とする泌尿器科でホルモン検査や精巣の診察、超音波検査などを追加することがあります。
不妊検査の費用はいくらかかる?
検査費用は、保険診療か自由診療かによって異なります。東京都の妊娠支援ポータルサイトが示す費用の目安は次のとおりです。
東京都が公表する検査費用の目安。医療機関や診療内容によって変動します。
| 検査項目 | 費用の目安 | 保険適用の扱い |
|---|---|---|
| 精液検査 | 数百円程度 | 保険適用の場合 |
| 経腟超音波検査 | 約1,600円〜 | 保険適用の場合 |
| ホルモン検査 | 1項目約1,000円〜 | 保険適用の場合 |
| AMH検査 | 約5,000円〜 | 自費の目安 |
| 子宮卵管造影検査 | 約6,000円〜 | 保険適用の場合 |
これらは一律の料金ではなく、診療報酬の自己負担額や検査目的、実施回数によって変わります。自由診療の場合は医療機関が料金を設定するため、受診前に確認することが大切です。
東京都では不妊検査等助成事業も実施されています。居住地によって助成制度が異なるため、自治体の最新情報も確認しておきたいところです。
不妊治療の種類と一般的な流れ
不妊治療は、検査で判明した原因や年齢、妊娠歴などを踏まえて選択します。一般的な治療方法には次のものがあります。
1.タイミング法
超音波検査や排卵検査などによって排卵時期を予測し、妊娠しやすいタイミングに性交渉を行う方法です。排卵に問題がない場合や、ほかに大きな異常がない場合などに検討されます。
2.排卵誘発法
排卵障害がある場合などに、内服薬や注射によって卵胞の発育や排卵を促す治療です。多胎妊娠などのリスクもあるため、医師による管理が必要です。
3.人工授精
採取した精液から精子を調整し、排卵時期に合わせて子宮内へ注入する方法です。精子が卵子に到達するまでの過程を補助します。
4.体外受精
卵子を採取して体外で精子と受精させ、培養した胚を子宮内に移植する治療です。卵管の問題や、一般不妊治療で妊娠に至らない場合などに検討されます。
5.顕微授精
顕微鏡で確認しながら、選択した精子を卵子に直接注入する方法です。精子の数や運動率が著しく低い場合などに選択されます。
治療は必ずしもタイミング法から順番に進めるわけではありません。検査で重大な異常が見つかった場合は、初めから体外受精などを検討することもあります。
2026年の不妊治療はどう変わった?
日本では2022年4月から、一般不妊治療や生殖補助医療の基本的な治療に健康保険が適用されています。2026年現在も、この制度が不妊治療を支える重要な仕組みとなっています。
こども家庭庁の案内によると、保険診療の対象となる主な治療には、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精、一定の男性不妊手術などがあります。基本的な自己負担は原則3割です。
ただし、体外受精・顕微授精には年齢と胚移植回数の条件があります。
- 治療開始時の女性の年齢が43歳未満であること。
- 初めての治療計画作成時に40歳未満の場合、1子ごとに胚移植6回まで。
- 初めての治療計画作成時に40歳以上43歳未満の場合、1子ごとに胚移植3回まで。
一方、タイミング法と人工授精には、この年齢・回数制限はありません。なお、保険適用の条件は治療開始日や治療計画の作成日などによって判断されるため、医療機関で個別に確認する必要があります。
また、2026年4月1日時点で、こども家庭庁が案内する生殖補助医療関連の先進医療には、ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術や、タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養などがあります。
タイムラプス撮像法は、胚培養中の受精卵を一定間隔で撮影し、その発育過程を評価する技術です。ヒアルロン酸を用いた精子選択術は、成熟精子を選択することを目的としています。
これらはすべての人に必要な治療ではなく、医学的な適応や施設の対応状況によって選択肢が異なります。先進医療は保険診療と併用できる場合がありますが、追加費用が発生するため、期待できる効果と負担額を事前に確認することが大切です。
2026年の不妊治療を考えるうえで大切なのは、新しい技術を次々に試すことではありません。基本検査で原因を確認し、標準的な治療を軸に、自分たちの年齢や医学的な状態に適した方法を選ぶことです。
【子供を授からない人の共通点】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:子供を授からない人には、共通する性格や体質があるのでしょうか?
A1:医学的に、子供を授からない人に共通する性格や考え方は確認されていません。妊娠しにくさには、排卵障害、卵管の異常、卵子の加齢変化、精子の数や運動率の低下など、さまざまな身体的要因があります。健康そうに見える人でも、不妊の原因を持っている場合があります。
Q2:ストレスが多いと妊娠できなくなるのでしょうか?
A2:ストレスが性生活やホルモンバランス、治療への取り組みに影響する可能性はあります。しかし、ストレスだけを不妊の原因と断定することはできません。排卵障害や卵管の問題、男性不妊などの医学的要因も確認する必要があります。自分を責めず、必要に応じて医療機関や専門の相談窓口を利用することが大切です。
Q3:AMHの数値が低いと自然妊娠は難しいのでしょうか?
A3:AMHは卵巣予備能を推測する指標であり、自然妊娠できるかどうかを直接判定する検査ではありません。低い数値だけで妊娠できないと判断することはできず、年齢、排卵、卵管、精液所見などを総合的に評価する必要があります。
Q4:何年妊娠しなかったら不妊症の検査を受けるべきですか?
A4:一般的には、避妊をせずに定期的な性交渉を続けて1年間妊娠しない場合が、不妊症を考える一つの目安です。ただし、月経不順や排卵障害がある場合、子宮内膜症や卵管疾患の既往がある場合、年齢が高い場合などは、1年を待たずに相談することが勧められます。
Q5:男性も不妊検査を受ける必要がありますか?
A5:はい。男性側にも精子の数や運動率、精巣機能、精路の異常など、不妊に関係する要因があります。女性だけが検査を受けても原因を見落とす可能性があるため、精液検査を含めて男女双方が検査を受けることが望まれます。
まとめ:【プロの結論】子供を授からない原因は男女双方から確認することが大切
子供を授からない人に、医学的に共通する性格や特定の生活パターンが存在するわけではありません。妊娠しにくさの背景には、女性の排卵障害、卵管や子宮の異常、卵子の加齢変化、男性の精子の状態や性機能など、さまざまな要因があります。
特に見落としてはいけないのは、男性側にも不妊の原因が存在することです。妊娠しない理由を女性の年齢や体質だけに求めたり、女性だけが検査を受けたりするのではなく、二人の身体的な状態を確認することが適切な対策につながります。
2026年現在、日本では不妊治療の基本的な治療に保険が適用され、体外受精や顕微授精を含めた選択肢が広がっています。先進医療も整備されつつありますが、治療方法は年齢や原因、検査結果によって異なります。
妊娠を希望している場合、まず意識したい判断基準は次の3つです。
1. 妊娠しない期間を確認する: 避妊をせずに1年間妊娠しない場合は、不妊検査を検討する。月経不順や既往症、年齢などによっては早めに相談する。
2. 男女双方の検査を受ける: 女性の婦人科検査だけでなく、男性の精液検査も実施し、原因を幅広く確認する。
3. 年齢と医学的な状態に合った治療を選ぶ: 生活習慣の改善だけに頼らず、必要に応じてタイミング法、人工授精、体外受精などを検討する。
最も大切なのは、妊娠しないことを本人の努力不足や体質のせいにしないことです。医学的な原因が見つかる場合もあれば、基本検査では説明できない場合もあります。だからこそ、早めに正確な情報を得て、二人で納得できる方法を選ぶことが、妊娠に向けた現実的な第一歩になります。
参考にした主な公的・医学的資料:日本産科婦人科学会『産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023』、日本生殖医学会『生殖医療Q&A』、日本産婦人科医会の不妊症診療解説、国立成育医療研究センター、厚生労働省、こども家庭庁、東京都福祉局、世界保健機関(WHO)。