三合会とは何か?香港黒社会の歴史・法律・現在の実態を2026年最新資料で解説

目次

三合会(さんごうかい)とは、中国の秘密結社を歴史的な源流とし、香港を中心に発展してきた犯罪組織の総称です。英語では「Triad(トライアド)」と呼ばれ、新義安、14K、和勝和などの組織が代表例として知られています。しかし、三合会という名前の巨大組織が世界中を一元的に支配しているわけではありません。実際には、歴史や構成、活動地域の異なる複数の組織や派閥が存在します。

2026年11月現在、香港警察の公表資料では、2025年の三合会関連犯罪は1,944件で、前年から16.4%減少しました。一方、2026年10月に公表された大埔・宏福苑火災の独立調査報告では、建物修繕業界における犯罪組織や三合会の関与を含む組織的な入札操作の問題も取り上げられています。かつての香港黒社会のイメージだけでは捉えきれない、現在の実態が浮かび上がっています。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】 - 三合会の正体: 中国の秘密結社に歴史的な起源を持つ、香港を中心とする複数の犯罪組織の総称。 - 代表的な組織: 新義安、14K、和勝和。それぞれ異なる歴史と組織的背景を持つ。 - 香港の法律: 社団条例と組織犯罪及び重大犯罪条例によって、三合会の活動や関連犯罪が規制されている。 - 2025年の統計: 三合会関連犯罪は1,944件で、前年比16.4%減少。 - 2026年の注目点: 建物修繕業界の入札操作や組織犯罪との関係が、独立調査報告で問題視された。

【三合会とは】中国秘密結社を源流とする香港犯罪組織の総称

三合会

三合会は、中国語で三合會、英語でTriadと表記されます。日本語では「中国マフィア」「香港マフィア」と紹介されることもありますが、厳密には単一の組織名ではありません。

歴史的には、中国の秘密結社である洪門(ホンメン)や天地会(てんちかい)などと関係する伝統を持ち、香港において複数の組織へと発展してきました。

三合会という名称の意味

三合会という名称は、中国の伝統的な秘密結社の思想や象徴と結び付いています。

その歴史的背景には、天地人という中国思想の概念や、結社内部で共有された忠誠、義理、兄弟関係などがあります。

こうした結社文化は、構成員同士の結束を強める役割を果たしてきました。

ただし、歴史上の秘密結社と現在の犯罪組織を完全に同一視することはできません。

もともと政治的な理念や相互扶助の性格を持っていた集団も、時代の変化や社会環境によって性質を変え、犯罪活動を行う組織へと変容していきました。

三合会は一つの巨大組織なのか

ここが、三合会を理解するうえで最も重要なポイントです。

三合会は、単一の最高指導者が全組織を統括する一枚岩の巨大組織ではありません。

香港には新義安、14K、和勝和など、異なる歴史を持つ組織が存在します。それぞれの内部にも複数の派閥や地域的な集団があり、必ずしも全員が一つの指揮系統に従うわけではありません。

犯罪学の研究でも、三合会を一つの統一された組織として捉える見方は実態を十分に反映していないと指摘されています。

香港大学の研究者らによる研究では、三合会を複数の独立した組織や派閥から成る複雑な集合体として分析しています。

つまり、三合会とは特定の団体の固有名詞というより、歴史的背景や組織文化を共有する犯罪組織群を指す言葉なのです。

【三合会の起源と歴史】中国の秘密結社から香港黒社会へ

三合会の歴史を理解するには、中国大陸における秘密結社の成立と、香港の植民地時代における社会構造の変化を分けて考える必要があります。

17世紀:中国の秘密結社・洪門と天地会

三合会の歴史的な起源としてよく紹介されるのが、洪門や天地会です。

これらの秘密結社は、清朝時代の中国で発展した結社文化と関係しています。

伝統的な起源説では、清朝を倒して明朝を復興するという政治的理念が結社の形成に関係したとされています。

当時の秘密結社には、次のような特徴がありました。

- 仲間同士の相互扶助。
- 兄弟関係を重視する結社文化。
- 秘密の儀式や誓約。
- 内部の規律や忠誠を重視する思想。
- 政治的・社会的なネットワーク。

ただし、秘密結社の起源については伝承と歴史研究で見解が異なります。現在知られる三合会の組織が、17世紀の結社からそのまま連続しているという単純な理解は正確ではありません。

19世紀:香港への進出と組織の発展

1842年、香港島は南京条約によってイギリスの植民地となりました。

その後、中国大陸から多くの人々が香港へ移住し、都市の人口や労働市場が拡大していきます。

当時の香港では、労働者や移住者が自分たちの生活を守るために、相互扶助団体や同郷組織を形成していました。

こうした社会的な背景が、三合会系組織の発展にも影響しました。

香港大学のPeng Wang氏とSharon Ingrid Kwok氏による2022年の歴史研究では、天地会系の結社が19世紀後半に香港へ移動した経緯が分析されています。

一方、後に新義安の前身となる「義安」は、潮州出身の労働者が経営者と労働者の間の問題を解決するために形成した団体であり、中国大陸の秘密結社と直接つながっていたわけではないとされています。

この事実は、香港の三合会がすべて同じ起源を持つわけではないことを示しています。

20世紀前半:香港黒社会としての勢力拡大

1914年から1939年にかけて、香港では複数の三合会系組織が社会的な影響力を拡大しました。

歴史研究によれば、当時の組織は本部や地域支部を持ち、都市生活に影響を及ぼす存在になっていました。

活動領域も変化し、恐喝、違法賭博、麻薬取引、密輸、売春関連の犯罪などとの関係が深まっていきます。

表向きには商業団体や慈善団体、スポーツクラブなどの形を取る集団もありました。

1950〜1970年代:香港黒社会の拡大と取り締まり

戦後の香港では、既存の組織が分裂したり、新しい派閥が生まれたりするなど、勢力関係が複雑化しました。

1950〜1960年代には、警察内部の汚職と犯罪組織の関係も大きな問題になりました。

1973年のゴッドバー事件を契機に、香港社会では警察の腐敗に対する批判が高まり、1974年には廉政公署(ICAC)が設立されました。

汚職対策の強化は、警察と三合会系組織の癒着を弱める重要な転換点となりました。

その後、取り締まりの強化や経済環境の変化によって、従来の香港黒社会の勢力構造も変わっていきます。

1997年以降:越境化とネットワーク型への変化

1997年の香港返還後も、三合会系組織は完全に消滅したわけではありません。

犯罪学研究では、香港だけに活動を限定せず、中国大陸や海外との経済的・人的ネットワークを利用する動きが指摘されています。

また、伝統的な組織の階層構造だけでは説明できない、流動的な犯罪ネットワークも研究対象となっています。

三合会の歴史は、秘密結社から犯罪組織への単純な変化ではなく、香港の政治、経済、移民、警察制度と密接に関係しながら変化してきた歴史なのです。

【三合会の仕組みと主要組織】新義安・14K・和勝和を比較

香港三合会を代表する組織として、特に名前が知られているのが新義安、14K、和勝和です。

これらは同じ三合会というカテゴリーに含まれますが、成立の背景や歴史は異なります。

代表的な三合会組織の関係性一覧

名称 歴史的背景・位置付け 特徴・注意点 三合会 中国の秘密結社に歴史的な源流を持つ組織群の総称 単一の組織ではない 洪門・天地会 中国大陸の歴史的な秘密結社 三合会の起源を考えるうえで重要な存在 新義安 潮州系労働者の結社「義安」を前身とする 香港を代表する三合会系組織の一つ 14K 国民党系の背景を持つ組織として知られる 香港内外で活動が報告されてきた 和勝和 香港の主要な三合会系組織の一つ 地域的な派閥や組織間関係が研究対象となっている

新義安(Sun Yee On)

は、香港の代表的な三合会組織の一つです。

その前身とされる義安は、潮州出身の労働者による結社として成立しました。

歴史研究では、労働者と経営者の間の対立や調整を背景に形成された団体が、三合会の儀式や組織文化を取り入れていった経緯が指摘されています。

ここで重要なのは、新義安が天地会から直接分派した組織だと決めつけないことです。

三合会の歴史には、異なる出発点を持つ集団が共通の組織文化を取り入れた事例もあります。

14K

は、新義安と並んで国際的にも知られている組織です。

その歴史的背景には、中国大陸における国民党系の組織との関係があります。

2026年4月24日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの歴史解説では、14Kの成立と香港への進出が取り上げられています。

組織名の「14K」の由来については、創設に関係した人物の名前や国民党との関係、所在地など、複数の説が存在します。

そのため、名称の由来を一つの説だけで断定することはできません。

和勝和(Wo Shing Wo)

も、香港の主要な三合会系組織の一つです。

三合会研究では、新義安や14Kと並んで取り上げられることが多く、地域的な派閥や組織間の対立関係などが歴史的に報道されてきました。

1975年には、14Kと和勝和に関係する抗争が九龍の旺角で発生し、死者が出た事件も記録されています。

ただし、こうした過去の事件を、そのまま2026年の組織関係に当てはめることはできません。

三合会の内部構造と仕組み

三合会系組織は、伝統的には階層的な構造を持つと説明されてきました。

犯罪学研究で取り上げられる基本的な構造は、次のようなものです。

- 上層部: 組織全体に関係する意思決定や内部調整を担う幹部層。
- 地域的な派閥: 特定の地域や経済領域に関係する集団。
- 一般構成員: 組織に所属し、さまざまな役割を担う構成員。

ただし、すべての組織が同じ構造を持っているわけではありません。

香港大学などの研究では、伝統的な階層構造というイメージに対し、実際には地域の派閥が比較的独立して活動する場合があることも指摘されています。

また、構成員同士の血縁関係だけで成り立つわけではなく、儀式や忠誠、兄弟関係を象徴する結社文化が組織のアイデンティティーを形成してきました。

【香港法上の三合会】社団条例と組織犯罪及び重大犯罪条例の定義

三合会を理解する際に見逃せないのが、香港の法律です。

香港では、三合会を単に歴史的な秘密結社として扱うのではなく、犯罪対策に関係する法律上の概念として定義しています。

特に重要なのが、次の2つの法律です。

社団条例(Societies Ordinance・第151章)

社団条例は、香港における団体や社団の登録、規制などを定める法律です。

第18条では、三合会に該当する社団を違法社団として扱う規定が設けられています。

さらに、三合会の儀式を使用したり、三合会特有の称号や用語を採用したりする社団についても、三合会社団とみなす規定があります。

つまり、名称だけでなく、組織の文化や慣習も法律上の判断に関係するのです。

組織犯罪及び重大犯罪条例(Organized and Serious Crimes Ordinance・第455章)

もう一つ重要なのが、組織犯罪及び重大犯罪条例です。

この法律の第2条では、三合会(Triad Society)について、一般的に三合会が使用する儀式や、それに類似する儀式を使用する社団、または三合会の称号や名称を採用する社団を含むと定義しています。

また、同条例では組織犯罪の定義も設けられています。

特定の三合会の活動に関連する附表第1所定の犯罪や、複数人による計画的・組織的な重大犯罪などが対象となります。

同条例には犯罪収益の没収や捜査に関する規定もあります。

2つの法律の違い

法律 主な役割 注目点
社団条例・第151章 社団の登録・規制 三合会社団を違法社団として扱う
組織犯罪及び重大犯罪条例・第455章 組織犯罪の捜査・犯罪収益対策 三合会の定義や組織犯罪の対象を規定

この2つの法律は役割が異なります。

また、三合会という法的な分類に該当することと、個々の人物が特定の犯罪を実行したことは別の問題です。

組織の名称や過去の関係だけで、すべての構成員に個別の犯罪責任があると判断することはできません。

【三合会の現在】2025年の警察統計と2026年の最新動向

2026年現在の三合会を考えるうえで、重要なのは香港警察が公表した犯罪統計と、2026年10月に発表された独立調査報告です。

2025年の三合会関連犯罪は1,944件

香港政府が2026年2月11日に公表した2025年の治安統計によると、三合会関連犯罪は次のとおりです。


2025年の三合会関連犯罪

1,944件



前年比
16.4%減少

2024年 2,325件 2025年 1,944件 増減 381件減

出典:香港政府・香港警察の2025年治安統計。2026年2月公表。

この数字は三合会関連犯罪として記録された事件数であり、構成員の総数や組織の規模を示す数字ではありません。

また、犯罪件数が減少したからといって、組織そのものが消滅したことを意味するわけでもありません。

2025年の大規模取り締まり「THUNDERBOLT」

香港警察は2025年、広東省およびマカオの警察当局と連携し、三合会や組織犯罪を対象とする合同取り締まり「THUNDERBOLT 2025」を実施しました。

香港政府の2025年11月7日の発表によると、主な結果は次のとおりです。

- 逮捕者: 4,140人
- 捜索場所: 約1,700か所
- 摘発した違法営業施設: 800か所以上
- 押収した現金・薬物・違法物品など: 約5億4,800万香港ドル相当

対象には、三合会関連犯罪だけでなく、麻薬犯罪、違法賭博、売春関連犯罪、恐喝、資金洗浄なども含まれていました。

したがって、4,140人全員が三合会構成員だったという意味ではありません。

2025年7月・8月には犯罪ネットワークを摘発

香港警察の2025年の治安報告では、別の大規模捜査についても説明されています。

2025年7月には、三合会系犯罪シンジケートの構成員82人が逮捕されました。

この捜査では、800万香港ドルを超える現金が押収され、犯罪収益とされる11億3,000万香港ドルの資金が凍結されました。

さらに同年8月には、同シンジケートの越境売春関連事業に対する捜査が行われ、67人が逮捕されています。

この事例は、現在の香港における組織犯罪対策が、街頭での暴力だけでなく、資金や犯罪収益、越境ネットワークにも重点を置いていることを示しています。

2026年10月:大埔・宏福苑火災の調査で浮上した組織犯罪問題

2026年の香港で、三合会と組織犯罪をめぐる大きな話題となったのが、大埔の宏福苑(Wang Fuk Court)火災に関する独立調査報告です。

2025年11月に発生したこの火災では、168人が死亡しました。

2026年10月29日に公表された独立調査委員会の報告では、建物の修繕・改修業界において、犯罪組織や三合会が関与する入札操作、脅迫、詐欺、汚職などの問題が取り上げられました。

政府も、建物修繕工事における入札談合を犯罪化するための法整備や、関係犯罪を取り締まる部門横断的な対策を発表しています。

ただし、ここで注意したい点があります。

ロイター通信の2026年10月30日の報道によれば、調査報告は三合会と建物修繕業界の犯罪ネットワークとの関係を取り上げていますが、火災関連事件で訴追された企業に三合会との関係があったと確定したわけではありません。

組織犯罪の存在が指摘されたことと、個別の企業や人物の三合会所属が立証されたことは区別する必要があります。

2026年の香港警察が重視する取り締まり分野

香港警察が公表している2026年の活動方針では、三合会や組織犯罪に対する対策として、次の分野が挙げられています。

- 若年層を利用する三合会関係者への対策。
- 情報に基づく捜査や潜入捜査。
- 越境・国際的な組織犯罪への対応。
- 犯罪収益の追跡と没収。
- 資金洗浄に対する捜査。

この方針からも、2026年の香港における三合会対策は、単純な暴力団の摘発にとどまらず、犯罪ネットワークの資金源や経済活動を対象にしていることが分かります。

【三合会とマフィアの違い】組織構造・歴史・活動範囲を比較

三合会は日本語の報道や海外メディアで「中国マフィア」と表現されることがあります。

しかし、三合会とイタリア系マフィアなどは、歴史的背景や組織文化に違いがあります。

三合会とマフィアの比較表

比較項目 三合会 イタリア系マフィア
主な歴史的背景 中国の秘密結社や香港の結社文化 イタリア南部などの地域社会
代表的な名称 新義安、14K、和勝和 コーザ・ノストラ、ンドランゲタなど
組織形態 複数の組織・派閥から構成 組織ごとに異なる家族・クランなどの構造
結束の背景 儀式、忠誠、兄弟関係など 血縁、地域、組織内の忠誠など
活動範囲 香港、中国大陸、海外など イタリア国内および国際的なネットワーク
共通点 組織犯罪、恐喝、違法取引、資金洗浄など

最大の違いは歴史的な組織文化

三合会は、中国の秘密結社に由来する儀式や結社文化を背景に発展してきました。

一方、イタリア系マフィアは、それぞれの地域社会や歴史的な家族・クランの関係を背景として発展してきた組織です。

もちろん、両者とも時代とともに組織構造を変えており、現代では国際的な犯罪ネットワークという共通点もあります。

三合会を中国マフィアと呼ぶのは間違いなのか

完全な間違いではありません。

海外メディアでは、中国系の組織犯罪を説明する際に「Chinese Mafia」という表現が使われることがあります。

ただし、専門的な説明ではTriadという言葉を使用した方が、香港を中心とする歴史的な組織群の特徴を正確に伝えられます。

特に、三合会という言葉を単一の組織名と誤解しないことが大切です。

【三合会に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:三合会とは簡単にいうと何ですか?

三合会とは、中国の秘密結社を歴史的な源流とする香港の犯罪組織群の総称です。英語ではTriadと呼ばれ、新義安、14K、和勝和などが代表的な組織として知られています。

Q2:三合会は現在も存在していますか?

はい。2025年の香港警察統計では三合会関連犯罪が1,944件記録されています。2026年も香港警察は三合会や組織犯罪への対策を継続しています。

Q3:三合会の代表的な組織は何ですか?

代表的な組織として、新義安、14K、和勝和が挙げられます。それぞれ異なる歴史的背景を持ち、三合会という一つの組織の支部という単純な関係ではありません。

Q4:三合会は中国政府や香港政府が管理している組織ですか?

三合会は政府の公的な組織ではありません。歴史上、政治勢力との接点や協力関係が研究された事例はありますが、すべての三合会系組織が同じ政治的関係を持っているわけではありません。

Q5:三合会とイタリアのマフィアは同じですか?

同じではありません。どちらも組織犯罪と関係する言葉ですが、三合会は中国の秘密結社に由来する組織文化を持ち、イタリア系マフィアは異なる歴史的・地域的背景を持っています。

Q6:三合会は香港の法律で禁止されていますか?

香港の社団条例では三合会社団を違法社団として扱う規定があります。また、組織犯罪及び重大犯罪条例では三合会の定義や関連する組織犯罪への対処が規定されています。

まとめ:三合会の正体は単一組織ではなく歴史と社会が生んだ犯罪ネットワーク

三合会は、中国の秘密結社を歴史的な源流とし、香港の社会構造や政治、経済環境の変化を通じて発展してきた組織犯罪の総称です。

その歴史には洪門や天地会との関係があり、香港では新義安、14K、和勝和など、異なる背景を持つ組織が形成されてきました。

2026年現在の実態を理解するうえで、特に押さえておきたいポイントは3つあります。

第一に、三合会は世界を一元的に支配する単一の巨大組織ではないということです。複数の独立した組織や派閥が存在し、それぞれ異なる歴史や関係性を持っています。

第二に、香港の法律では三合会を明確に規制対象としており、犯罪収益や組織的な犯罪活動への対策も進められています。

第三に、現在の三合会関連犯罪は、過去の香港映画に登場するような抗争や暴力だけでは説明できません。2026年10月の宏福苑火災に関する独立調査報告が示したように、建物修繕業界の入札操作や経済活動に絡む組織犯罪も社会的な問題になっています。

【プロの結論】

三合会を正しく理解するための判断基準は、「歴史上の秘密結社」「香港の個別犯罪組織」「現代の組織犯罪ネットワーク」という3つのレベルを混同しないことです。

また、警察統計の犯罪件数、組織の推定規模、個々の構成員の犯罪責任は、それぞれ異なる情報です。

2026年の三合会を読み解く際には、香港警察の公式統計、香港法の条文、学術研究、信頼できる報道を照らし合わせることが欠かせません。

三合会の本質は、単なる伝説的な秘密結社でも、映画に登場する巨大マフィアでもありません。香港の歴史と社会の変化に適応しながら姿を変えてきた、複雑な組織犯罪の歴史そのものなのです。