【まずは全体像】『22年目の告白』のあらすじと基本情報
本作は、単なる連続殺人犯と刑事の追跡劇ではありません。犯人を名乗る人物、事件を追い続けた刑事、被害者遺族、そして事件を報道するテレビキャスター。それぞれが異なる秘密を抱え、物語の後半で立場が大きく反転する構成になっています。
作品の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公開日 | 2017年6月10日 |
| 上映時間 | 117分 |
| 監督 | 入江悠 |
| 脚本 | 入江悠・平田研也 |
| 主演 | 藤原竜也・伊藤英明 |
| 原作 | 韓国映画『殺人の告白』 |
| ジャンル | クライムサスペンス |
日本映画データベース(JFDB)と公式キャスト情報によると、曾根崎雅人を藤原竜也、刑事・牧村航を伊藤英明、仙堂俊雄を仲村トオルが演じています。さらに、夏帆、野村周平、石橋杏奈、早乙女太一らが物語の重要人物として出演しています。
物語の始まりは1995年の連続殺人事件

1995年、日本で残忍な連続殺人事件が発生します。
犯人は被害者を背後からロープで絞殺し、その様子を被害者の家族や親しい人物に目撃させるという異常な犯行を繰り返しました。さらに、目撃者をあえて生かし、事件の恐怖を周囲に伝えさせるという特徴がありました。
事件を担当した刑事が牧村航です。彼は先輩刑事の滝幸宏とともに犯人を追い詰めますが、あと一歩のところで取り逃がしてしまいます。
その後、犯人の罠によって滝が命を落とし、牧村の妹・里香も行方不明になります。事件は未解決のまま時効を迎え、牧村は犯人を捕まえられなかった苦悩を抱え続けます。
2017年、曾根崎雅人が突然現れる
事件から22年が経過した2017年。突然、曾根崎雅人という男が記者会見を開きます。
彼は自分こそが連続殺人事件の犯人だと名乗り、事件の詳細を記した告白本を出版します。
時効が成立した後に犯人が姿を現したという異例の展開は、世間の関心を集めます。曾根崎は被害者遺族への謝罪やサイン会などを行い、メディアでも大きく取り上げられる存在になりました。
しかし、事件を知る牧村は曾根崎に強い疑念を抱いていました。彼の告白には、どうしても説明できない部分が残されていたからです。
【事件を時系列で整理】1995年から2017年までの連続殺人事件の経緯
『22年目の告白』の真相を理解するには、1995年の5つの事件と、その後に発生した牧村里香の殺害を区別する必要があります。
前半では5件の連続殺人事件が物語の中心ですが、実際には里香に関する第6の事件が隠されていました。この存在が、終盤の真犯人特定と時効の逆転につながります。
1995年に発生した5つの事件
映画スクエアの事件解説などで整理されている事件の発生日は次のとおりです。
| 発生日 | 事件 | 物語上のポイント |
|---|---|---|
| 1995年1月4日 | 足立区飲食店店主殺害 | 連続殺人の始まり |
| 1995年2月14日 | 世田谷区会社員殺害 | 牧村が捜査を担当 |
| 1995年3月15日 | 銀座ホステス殺害 | 犯行の特徴が明らかになる |
| 1995年3月31日 | 練馬区病院長夫人殺害 | 捜査をかいくぐる犯人 |
| 1995年4月27日 | 大田区警察官殺害事件 | 滝幸宏が殉職する |
これらの事件に共通するのは、被害者の身近な人物に殺害の瞬間を目撃させることです。犯人は単に人を殺害するだけではなく、残された人間に恐怖と絶望を植え付けることに執着していました。
特に最後の事件では、牧村を狙った犯人の計画が狂い、先輩刑事の滝が命を落とします。さらに牧村の妹・里香も姿を消し、牧村の人生は大きく変わってしまいます。
1995年4月27日深夜から28日未明に起きた第6の事件
実は、牧村里香は単に行方不明になったのではありません。仙堂に拉致され、殺害されていたのです。
この事件は、先行する5件とは別の重要な事件として扱われます。犯人は里香を拘束し、殺害の様子を撮影していました。
ところが、牧村と世間は里香の本当の最期を知りません。曾根崎の告白本にも、この事件の真相は記載されていませんでした。
2010年、時効をめぐる法律が変わる
2010年4月27日、日本では刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律が施行され、殺人罪など、死刑に相当する人を死亡させた犯罪の公訴時効が廃止されました。
ただし、すでに公訴時効が完成していた事件まで、後からさかのぼって処罰できるようになったわけではありません。法務省の説明でも、改正法の施行時点で時効が完成していない犯罪に新しい規定が適用されることが示されています。
この法改正が、映画の最大の仕掛けになります。
2017年、曾根崎の告白から真相が動き出す
曾根崎の登場によって、牧村は過去の事件を再び追うことになります。
テレビ番組での対決、謎の動画投稿、真犯人を名乗る覆面男の登場。事件は次々と新しい局面を迎えます。
しかし、曾根崎も牧村も、そしてテレビキャスターの仙堂も、それぞれ世間に明かしていない事実を抱えていました。
【人物相関・正体一覧】曾根崎雅人、牧村航、小野寺拓巳、仙堂俊雄の関係
本作では、登場人物の表向きの肩書きと本当の立場が一致しません。特に曾根崎と仙堂の正体を理解すると、序盤からの発言や行動の意味が変わります。
| 登場人物 | 演じる俳優 | 本当の立場・関係 |
|---|---|---|
| 曾根崎雅人 | 藤原竜也 | 小野寺拓巳が整形して名乗った偽名 |
| 小野寺拓巳 | 野村周平 | 牧村里香の婚約者。曾根崎の本当の正体 |
| 牧村航 | 伊藤英明 | 事件を追い続ける刑事。曾根崎の計画に協力 |
| 仙堂俊雄 | 仲村トオル | 連続殺人事件の真犯人 |
| 牧村里香 | 石橋杏奈 | 牧村航の妹。拓巳の婚約者 |
| 戸田丈 | 早乙女太一 | 連続殺人事件の被害者遺族 |
| 岸美晴 | 夏帆 | 父親を殺された被害者遺族 |
| 山縣明寛 | 岩松了 | 被害者遺族の医師。拓巳の整形手術に関わる |
| 滝幸宏 | 平田満 | 牧村の先輩刑事。事件で殉職 |
曾根崎雅人の正体は小野寺拓巳
曾根崎雅人は、実際には連続殺人犯ではありません。
その正体は、牧村里香の婚約者だった小野寺拓巳です。
1995年、阪神・淡路大震災によって生活に大きな影響を受けた里香は、婚約者の拓巳とともに東京へ移り、兄の牧村のもとで暮らしていました。しかし、里香は仙堂に殺害されてしまいます。
拓巳は里香を守れなかった自分を責め、事件の時効が成立する日に自殺を図ります。しかし、一命を取り留めました。
その後、医師の山縣明寛の協力によって整形手術を受け、別人の顔を手に入れます。そして曾根崎雅人という新しい名前で生きることになりました。
つまり、藤原竜也が演じる曾根崎雅人は、過去の事件の犯人を演じるために作られた人物だったのです。
牧村航の正体は計画の協力者
牧村航は、単に曾根崎を追い続ける刑事というだけではありません。
彼は小野寺拓巳の正体を知っており、真犯人をおびき出す計画に協力していました。
曾根崎の告白本を書いたのも牧村です。事件の詳細を知り尽くした牧村が本を執筆し、拓巳が犯人を演じることで、真犯人の反応を引き出そうとしたのです。
このため、曾根崎の告白本は単なる虚偽の自白ではなく、真犯人を追い詰めるための計画の一部でした。
仙堂俊雄の正体はニュースキャスターを装う連続殺人犯
仲村トオル演じる仙堂俊雄は、人気ニュース番組「NEWS EYES」のメインキャスターです。
元戦場ジャーナリストという経歴を持ち、事件当時から連続殺人について取材していた人物でもあります。
しかし、彼は事件の真相を追っていた第三者ではありませんでした。自らが連続殺人を実行した張本人だったのです。
報道する側の人間が、実際には報道対象となる犯罪を引き起こしていた。この立場の逆転が、作品の大きな衝撃になっています。
【核心ネタバレ】真犯人・仙堂俊雄の動機と曾根崎の計画を完全解説
ここからは物語最大の謎である仙堂の犯行動機と、曾根崎がどのように真犯人へたどり着いたのかを解説します。
仙堂俊雄が殺人を繰り返した本当の動機
仙堂は、かつて戦場ジャーナリストとして海外で活動していました。
その取材中、仙堂はドイツ人ジャーナリストの友人とともに反政府勢力に拘束されます。そして、目の前で友人が絞殺されるという凄惨な経験をしました。
ところが、友人が殺された一方で、仙堂だけは解放されて生き残ります。
この経験は仙堂に深い精神的な傷を残しました。なぜ友人が殺され、自分だけが助かったのか。なぜ自分だけがその恐怖から逃れられたのか。
その疑問とトラウマを抱えた仙堂は、やがて他人に同じ体験をさせるという歪んだ行動に走ります。
つまり、仙堂の犯行は金銭目的でも、特定の被害者への個人的な恨みでもありません。自分が経験した恐怖を再現し、同じ境遇の人間を作り出そうとする異常な欲求が動機でした。
彼にとって被害者の家族は、単に殺害を目撃する人間ではありません。かつて自分が目撃者として経験した苦しみを、もう一度再現するための存在だったのです。
なぜ仙堂は曾根崎に接近したのか
曾根崎が犯人を名乗って世間に登場すると、仙堂は彼を自身のニュース番組に招きます。
表向きは事件の真相を追及するためですが、仙堂には別の目的がありました。
自分が実行した事件を別の人間が告白している。その人物がどこまで事件を知っているのか、自分の犯罪を本当に再現できるのかを確かめたかったのです。
仙堂は曾根崎に質問を重ね、告白本に記載されていない情報を突きつけます。特に牧村の妹・里香の失踪と殺害については、曾根崎が知らないはずの情報を持ち出しました。
しかし、この番組出演こそが、仙堂自身の正体を暴くきっかけになっていきます。
曾根崎が仙堂を真犯人だと確信した決定的な伏線
重要なのは、仙堂が番組内で里香について「婚約していた」と言及したことです。
里香が拓巳と婚約していた事実は、事件の核心に関わる情報でした。犯人が現場で里香の婚約指輪を見ていたからこそ知り得る内容だったのです。
この発言によって、曾根崎は仙堂が単なる事件の取材者ではなく、現場を知る人間である可能性を強く疑います。
さらに、仙堂が告白本に異常な関心を示したことや、事件に関する質問の仕方も疑惑を深める材料になりました。
曾根崎は、仙堂が自分の正体を探っているように見せながら、実際には仙堂の反応を観察していたのです。
真犯人を名乗る覆面男の正体
物語の中盤では、動画投稿サイトに自分こそが真犯人だと主張する人物が登場します。
仙堂はこの人物を番組に招き、曾根崎と牧村を交えた生放送を企画します。覆面の男は、里香が殺害される様子を撮影した映像を証拠として持参しました。
映像を見た曾根崎は激しく取り乱し、ついに自分が犯人ではないと告白します。
ここで明らかになるのが、告白本を書いたのは牧村であり、曾根崎は小野寺拓巳だったという事実です。
さらに、覆面男も本物の犯人ではありませんでした。牧村が犯人との格闘時に撃ったはずの肩の銃創が、覆面男には存在しなかったのです。
彼は真犯人に雇われた偽物であり、仙堂は再び事件の真相を闇に隠そうとします。
しかし、この一連の生放送によって、曾根崎は仙堂への疑惑を確信に変えていきます。
【最大の謎を解明】時効が成立しない理由は2010年の法改正と東京タワー
『22年目の告白』で最も巧妙な仕掛けの一つが、時効に関する逆転劇です。
1995年の連続殺人事件は、2010年までに公訴時効が完成していました。そのため、2017年に犯人が名乗り出ても、当初の事件については処罰が難しい状況でした。
ところが、牧村里香の事件だけは事情が違います。
2010年4月27日の刑事訴訟法改正が重要
2010年4月27日に施行された改正刑事訴訟法では、殺人罪など、死刑に相当する人を死亡させた犯罪の公訴時効が廃止されました。
重要なのは、法律が改正された時点ですでに時効が完成していた事件には、新しい規定が適用されないという点です。
つまり、1995年4月27日までに発生し、すでに時効が完成していた事件を、改正法によって復活させることはできません。
一方、法改正の施行時点でまだ時効が完成していなかった殺人事件には、新しい規定が適用されます。
この違いが、仙堂を逮捕できるかどうかを左右する決定的なポイントになりました。
東京タワーの照明が消えた意味
牧村が真相にたどり着く鍵になったのは、里香の殺害映像に映っていた東京タワーでした。
映像の最初では、東京タワーがライトアップされています。しかし、里香が殺害される場面では、その照明が消えていました。
東京タワーのライトアップは午前0時に消灯するため、この変化は撮影中に日付が変わったことを示しています。
つまり、里香が殺害されたのは1995年4月27日ではなく、翌日の4月28日未明だったのです。
この1日の違いが、事件の法的な扱いを根本から変えます。
時効の成立・不成立を整理すると
| 項目 | 1995年4月27日までの事件 | 1995年4月28日の里香の事件 |
|---|---|---|
| 発生日 | 4月27日まで | 4月28日未明 |
| 2010年の法改正時 | 時効完成 | 時効未完成 |
| 改正法の適用 | 適用されない | 適用される |
| 2017年の処罰 | 公訴時効が障害となる | 時効なし |
| 物語の結果 | 時効成立 | 仙堂の逮捕が可能 |
ここで注意したいのは、時効の判断は単純に「事件から22年経過したかどうか」ではないことです。法改正の施行時点で公訴時効が完成していたかどうかが決定的な基準になります。
東京タワーの消灯という一見何気ない映像上の変化が、法律の適用を左右する証拠になる。この脚本上の仕掛けは、本作の伏線回収の中でも特に見事な部分です。
【結末・ラストシーンを考察】仙堂の逮捕と戸田丈の復讐が意味するもの
ここからは、映画の最終局面を詳しく解説します。
仙堂の別荘で明かされるすべての真実
曾根崎は仙堂の別荘に乗り込み、彼が真犯人であることを突きつけます。
仙堂はついに自分の犯行を認め、戦場での体験と殺人を繰り返した動機について語ります。
そして、拓巳は怒りを抑えきれず、仙堂をナイフで刺し、ロープで首を絞めようとします。
目の前にいるのは、愛する里香を殺害した人物です。拓巳にとって、22年間抱え続けてきた怒りと悲しみが爆発する瞬間でした。
しかし、そこへ牧村が駆けつけます。
牧村は、里香の事件には時効が成立していないことを伝え、仙堂を殺さずに法の裁きに委ねるよう説得します。
東京タワーの消灯から日付が変わっていたことを突き止めた牧村は、仙堂を殺人罪で逮捕できる可能性があると判断したのです。
拓巳は復讐を思いとどまり、仙堂は警察に逮捕されます。
仙堂は逮捕後も反省していない?
逮捕された仙堂は、精神的な闇や過去のトラウマを語り、自分の体験を手記にしようとします。
その手記は『闇を追いかけて』というタイトルで出版されることになります。
この展開は、曾根崎の告白本が世間を騒がせた構図を繰り返しているようにも見えます。
殺人を告白した曾根崎の本が注目されたように、今度は真犯人である仙堂自身が、自分の過去と犯罪を本にして世間に発信しようとするのです。
仙堂にとっては、逮捕された後でさえ、自分の人生を物語として語り、世間の注目を集めることが重要なのかもしれません。
小野寺拓巳は最後に海外へ旅立つ
事件が解決した後、拓巳は里香が殺害された場所を訪れ、花束と婚約指輪を供えます。
長い間、里香を守れなかった後悔を抱えていた拓巳にとって、この行動は過去と向き合うための大切な時間でした。
その後、拓巳は海外へ旅立ちます。
牧村は空港で彼を見送り、被害者遺族の美晴や山縣も別れの場に立ち会います。美晴はかつて曾根崎を殺そうとしたことを謝罪し、拓巳は里香の命日には帰ってくるという約束を残します。
拓巳にとって、海外への旅立ちは事件から逃げるためではありません。里香の死と向き合い、長年止まっていた自分の人生を再び歩き始めるための選択として描かれています。
エンドロール後、戸田丈が仙堂に向かう理由
映画の最後には、もう一つの衝撃的な場面が用意されています。
仙堂が病院内を移動していると、清掃員に扮した戸田丈が現れます。戸田はナイフを手にして仙堂へ向かって走り出します。
戸田は連続殺人事件によって母親を奪われた遺族です。事件の真相が明らかになっても、彼の中にある怒りや悲しみが簡単に消えるわけではありません。
拓巳は牧村の説得によって復讐を思いとどまりました。しかし、すべての遺族が同じ選択をできるとは限らないのです。
映画は戸田が仙堂に襲いかかろうとするところで終わり、その後の結果を明確には描きません。
このラストシーンが伝えているのは、真犯人が逮捕されても、被害者遺族の苦しみが終わるわけではないという現実です。
法律によって犯人を裁くことはできても、奪われた家族や人生を取り戻すことはできません。復讐を選ぶのか、法に委ねるのかという問題は、最後まで観客に突きつけられています。
【伏線回収と原作比較】韓国映画『殺人の告白』との違いは?
『22年目の告白』は、2012年の韓国映画『殺人の告白』を原案とした日本版リメイクです。
日本版・2017年公開
藤原竜也、伊藤英明主演。日本の刑事司法制度や震災の記憶を物語に組み込んだ作品。
韓国オリジナル・2012年製作
パク・シフ、チョン・ジェヨン主演。15年前の連続殺人事件と、犯人を追う刑事の対決を描く。
日本版と韓国版の主な違い
| 比較項目 | 日本版『22年目の告白』 | 韓国版『殺人の告白』 |
|---|---|---|
| 公開・製作 | 2017年 | 2012年 |
| 舞台 | 日本 | 韓国 |
| 主演 | 藤原竜也・伊藤英明 | パク・シフ・チョン・ジェヨン |
| 時間設定 | 事件から22年後 | 事件から15年後 |
| 犯人の告白 | 時効後の告白本 | 時効後の自叙伝 |
| 独自の要素 | 2010年の時効廃止と震災 | 韓国社会を背景にした犯罪劇 |
韓国版にも、時効成立後に犯人が名乗り出て本を出版するという基本構造があります。
ただし、日本版は2010年の公訴時効廃止という実際の法改正を物語の重要な仕掛けに取り入れています。
また、1995年の阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件といった日本の歴史的出来事を背景に置き、登場人物の人生と社会の記憶を結び付けています。
韓国版が連続殺人犯と刑事の対決を軸にした作品であるのに対し、日本版は時効制度、報道の影響、遺族の復讐心などを組み合わせたサスペンスとして再構成されています。
したがって、韓国版を先に見ている人でも、日本版では異なる法律上の仕掛けや人物関係に注目することで、新鮮な驚きを味わえます。
見直すと気づく5つの重要な伏線
本作は結末を知ってから見直すと、序盤から真犯人の正体につながる情報が配置されていたことに気づきます。
1.仙堂が戦場時代の友人からもらった万年筆
仙堂が大切にしている万年筆は、戦場ジャーナリスト時代の友人とのつながりを示すアイテムです。友人を目の前で失った過去と、現在の犯行動機を結び付ける象徴になっています。
2.仙堂が里香の婚約を知っていたこと
婚約指輪を通じて、仙堂が里香の私生活を知る立場にいたことが浮かび上がります。犯行現場を知っている人物でなければ出てこない情報であり、真犯人特定の決定打です。
3.曾根崎の告白本に欠けている第6の事件
本の内容は非常に詳細ですが、牧村の妹・里香に関する事件は説明されていません。これが曾根崎の告白が真実ではないことを示す重要な違和感になっています。
4.覆面男に存在しなかった肩の銃創
牧村は過去に犯人の肩を撃っています。そのため、事件当時の犯人なら肩に傷が残っているはずです。覆面男にその傷がないことが、偽物だと見破る証拠になります。
5.東京タワーのライトアップ
殺害映像に映る東京タワーの消灯は、里香の死亡日時を特定する手掛かりです。日付が変わったことが、時効廃止後の殺人であるという法律上の証明につながります。
この5つは、それぞれ独立した小道具や情報に見えますが、実際には仙堂の過去、曾根崎の正体、牧村の計画、そして逮捕に至るまでを一本につなぐ伏線です。
【プロの結論】『22年目の告白』が最後に問いかけるもの
この映画の巧妙さは、犯人の正体を当てることだけを目的にしていない点にあります。
曾根崎が犯人ではないと判明した瞬間、物語は単純な謎解きから、被害者遺族が抱える苦しみと正義の問題へと変化します。
拓巳は愛する人を殺された怒りから、犯人を自分の手で殺そうとします。しかし、牧村の説得によって復讐を思いとどまります。
一方、最後の戸田は同じように法の外で復讐を果たそうとします。この対比によって、犯人の逮捕だけでは解決しない問題が残されていることが示されます。
さらに、仙堂が逮捕後も手記を書こうとする姿は、犯罪者が自分の物語を発信し、社会の注目を集めることへの皮肉にもなっています。
曾根崎の告白本が話題になったように、真犯人の手記もまた世間の関心を集める可能性があります。被害者の苦しみよりも、犯人の告白や刺激的な情報が注目されてしまう構造も、本作が描いた重要なテーマです。
本作をおすすめできるのは、伏線を読み解くミステリーが好きな人、社会派サスペンスが好きな人、そして結末を知った後にもう一度見直したくなる作品を探している人です。
反対に、暴力描写や被害者遺族の苦悩を扱う重い物語が苦手な人には、やや刺激が強い作品かもしれません。
【22年目の告白のネタバレ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:『22年目の告白』の真犯人は誰ですか?
A1:真犯人は仙堂俊雄です。仲村トオルが演じる人気ニュースキャスターで、かつて戦場で友人が絞殺される場面を目撃した経験から、同じ恐怖を他人に味わわせるために連続殺人を繰り返していました。
Q2:曾根崎雅人の正体は誰ですか?
A2:曾根崎雅人の正体は小野寺拓巳です。牧村里香の婚約者で、彼女を殺害した真犯人を見つけるため、整形手術によって顔を変え、別人として活動していました。
Q3:牧村航は本当に犯人を追っていただけですか?
A3:いいえ。牧村は曾根崎の正体を知っており、告白本の執筆も担当しています。小野寺拓巳と協力し、真犯人をおびき出すための計画を実行していました。
Q4:なぜ仙堂俊雄には時効が適用されなかったのですか?
A4:牧村里香の殺害が1995年4月28日未明に行われたためです。2010年4月27日に施行された殺人罪の公訴時効廃止より後ではなく、施行時点でまだ時効が完成していなかった事件として新しい法律が適用されました。
Q5:東京タワーの消灯は何を意味していますか?
A5:里香の殺害映像に映る東京タワーの照明が消えていたことから、撮影中に午前0時を迎え、4月27日から28日に日付が変わったと判断できる仕掛けです。
Q6:最後に仙堂を襲った人物は誰ですか?
A6:戸田丈です。連続殺人事件で母親を失った被害者遺族であり、真犯人への復讐を試みます。映画は襲撃の瞬間で終わり、その後の結果は明確に描かれていません。
Q7:韓国映画『殺人の告白』と同じ結末ですか?
A7:基本となる設定は共通していますが、日本版では2010年の公訴時効廃止や阪神・淡路大震災など、日本独自の社会的背景を取り入れています。法律の違いが結末の重要な仕掛けになっています。
まとめ:『22年目の告白』の結末は正体と時効の二重トリックにある
『22年目の告白-私が殺人犯です-』の真相は、曾根崎雅人が小野寺拓巳であり、真犯人が仙堂俊雄だったという二重の正体の反転にあります。
仙堂の動機は、戦場で経験した友人の絞殺と、自分だけが生き残ったことへのトラウマでした。その恐怖を他人にも経験させようとしたことが、連続殺人につながっていました。
そして、東京タワーの消灯によって里香の殺害日時が4月28日未明と判明し、2010年の公訴時効廃止が適用される事件だったことが明らかになります。
曾根崎の正体、仙堂の動機、東京タワーの映像、最後の戸田の襲撃。それぞれの出来事が結び付いたとき、物語の全体像が完成します。
2026年に改めて見ても、本作の魅力は一度目の鑑賞で驚かされる展開だけではありません。結末を知ったうえで序盤を見直すと、登場人物の何気ない発言や小道具に隠された意味が浮かび上がります。
特に注目したいのは、犯人が逮捕されても被害者遺族の苦しみは終わらないというラストのメッセージです。単なる犯人当てのサスペンスを超え、正義とは何か、復讐とは何かを最後まで考えさせる作品になっています。
まだ見直していない人は、ぜひ東京タワーの映像と仙堂の発言に注目して、もう一度物語を追ってみてください。