【売上高151億円から147億円へ】泉北高島屋の経営状況と閉店リスク
泉北高島屋の閉店説を考えるうえで、もう一つ確認しておきたいのが売上高の推移だ。
実際、泉北店の売上高は近年減少傾向にある。地元情報紙「泉北・金剛さやまコミュニティ」の2026年3月1日付記事では、次の数字が紹介されている。
| 年度 | 売上高 | 状況 |
|---|---|---|
| 2023年度 | 約151億円 | 前年度から減少 |
| 2024年度 | 約147億円 | 減少傾向が継続 |
| 2026年2月期 | 約145億円 | 髙島屋公式の店別売上高 |
2026年2月期の数字は、髙島屋の公式業績・店舗網に掲載された店別売上高を億円単位に丸めたものだ。
この推移を見ると、泉北店の売上が大きく成長しているわけではないことが分かる。
しかし、売上高が減少していることと、閉店が決定していることはまったく別の話だ。
なぜ売上高の減少だけでは閉店を判断できないのか

百貨店の経営判断には、売上高以外にも複数の要素が関係する。
例えば、売上が一定水準にあっても、賃料や人件費、施設維持費などの負担が大きければ利益を確保できない。一方、売上が減少していても、地域内での集客力や周辺施設との相乗効果によって、店舗を維持する経営上のメリットが存在する場合もある。
堺店の場合、髙島屋は2020年度以降の営業赤字と黒字化の見通しが立たないことを、閉店理由として公式に説明していた。
一方、泉北店については、同じ理由による営業終了の発表はない。
したがって、堺店の閉店理由をそのまま泉北店に当てはめることはできない。
2026年2月期の高島屋全体の業績にも注目
髙島屋の2026年2月期決算では、連結総額営業収益は約1兆323億円、営業利益は535億円だった。
親会社株主に帰属する当期純利益は82億円の赤字となったが、会社の公式説明では、転換社債型新株予約権付社債の買入消却に伴う特別損失が影響している。
つまり、グループ全体の最終赤字だけを見て、泉北店の閉店が近いと判断するのも適切ではない。
見るべきなのは、店舗単位の営業状況、売場への投資、地域商圏の変化、そして会社からの正式な発表である。
【パンジョと泉北ニュータウン】泉北高島屋が地域で担う役割
泉北高島屋の将来を考えるなら、百貨店単体ではなく、周辺の商業施設を含めた地域全体を見る必要がある。
その中心的な存在が、泉ケ丘駅に直結するショッピングセンター「パンジョ」だ。
パンジョと泉北高島屋は同じ施設なのか?
パンジョと泉北高島屋は、密接に連携する商業施設だが、名称も役割も異なる。
パンジョは、ファッションや飲食、生活関連サービスなどを集めたショッピングセンター。泉北高島屋は、その商業エリアを構成する百貨店として位置付けられる。
パンジョ公式サイトによると、施設の概要は次のとおり。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | パンジョ |
| 開店日 | 1974年11月15日 |
| 所在地 | 堺市南区茶山台1丁3番1号 |
| 店舗数 | 97店舗 |
| 店舗数の内訳 | 泉北高島屋・パンジョクラブIZを含む |
| 2023年度年間売上高 | 約219億円 |
| 年間入店客数 | 約680万人 |
注目したいのは、年間売上高約219億円という数字だ。
これは泉北高島屋単独の売上ではなく、パンジョ全体の数字である。高島屋の店別売上高と単純に比較してはいけない。
百貨店だけでなく、専門店や飲食店などが集まることで、買い物以外の目的でも訪れやすい商業エリアを形成している。
近畿大学医学部・近畿大学病院の移転も地域の変化
もう一つの注目材料が、近畿大学医学部と近畿大学病院の移転だ。
パンジョ公式サイトによると、両施設は2025年11月に移転し、パンジョから徒歩約5分の場所に位置している。
大学や病院の存在は、地域の人の流れに影響を与える可能性がある。
学生、教職員、医療関係者、患者、付き添いの家族など、従来の住宅地中心の商圏とは異なる利用者が周辺を訪れることも考えられる。
パンジョ側も、こうした移転による学生やファミリー層の集客に期待を示している。
ただし、大学病院の移転によって泉北高島屋の売上が実際にどれだけ増加したかを示す確定データは、今回確認した資料にはない。
泉北ニュータウンの商業施設として生き残る条件
泉北ニュータウンでは、人口構成の変化や高齢化など、郊外型商業施設が直面する課題も無視できない。
従来型の百貨店は、衣料品や贈答品を目的に来店する顧客だけに依存すると、日常的な来店機会を増やしにくい。
そのため、今後の泉北高島屋に求められるのは、日常の買い物と百貨店ならではの専門性を両立することだ。
食品、化粧品、ファッション、子ども用品、贈答品などを組み合わせ、地域住民が目的に応じて利用できる売場を維持できるかが重要になる。
パンジョとの相乗効果や、泉ケ丘駅周辺のまちづくりも、今後の集客を考えるうえで注目すべき要素だ。
【プロの結論】泉北高島屋の閉店説をどう判断すべきか
2026年の泉北高島屋を取り巻く状況には、明るい材料と注意すべき材料の両方がある。
明るい材料は、春の16店舗リニューアル、堺店からの顧客受け入れ、パンジョとの商業エリアとしての連携、泉ケ丘周辺の都市機能の変化だ。
一方、売上高が151億円から147億円、さらに2026年2月期には約145億円へと推移している点は、今後の経営を考えるうえで見過ごせない。
この二つを合わせて考えると、泉北高島屋は「閉店が決まった店舗」ではなく、地域の需要変化に対応しながら売場を再構成している店舗と捉えるのが妥当だ。
閉店の噂と本当の情報を見分ける4つの基準
今後、泉北高島屋に関する閉店情報が出てきた場合は、次のポイントを確認するとよい。
1.株式会社髙島屋の公式発表があるか
全館閉店や営業終了に関する情報は、会社のニュースリリースや公式店舗ページを優先する。第三者の予測記事や検索候補だけでは、閉店の確定情報にならない。
2.閉店対象が全館なのか、一部店舗なのか
百貨店の中には、テナントの入れ替えや専門店の営業終了がある。個別ブランドの閉店を、施設全体の閉店と混同しないことが大切だ。
3.改装と営業終了を区別する
売場の工事や一時的な売場移動は、必ずしも閉店を意味しない。今回の泉北店のように、改装後の新規ブランドや売場構成が具体的に公表されている場合は、計画の内容を確認する必要がある。
4.売上高と閉店決定を混同しない
売上高の減少は経営上の注意材料だが、それだけで閉店日や撤退方針が決まるわけではない。営業利益、賃貸借契約、投資計画なども関係する。
今後、特に注目したいポイント
| 注目項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 2026年春の改装効果 | 新規ブランドによる集客の変化 |
| 店舗別売上高 | 2027年2月期以降の推移 |
| 堺店の顧客移行 | 泉北店の利用者増加につながったか |
| パンジョとの連携 | 商業エリア全体の集客力 |
| 公式発表 | 新たな改装・営業時間変更・経営方針 |
特に、次の決算で泉北店の売上高がどう変化するかは、2026年以降の経営状況を判断する重要な材料になる。
【泉北高島屋の閉店】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:泉北高島屋は2026年中に閉店しますか?
A1:2026年11月1日時点で、泉北高島屋の全館閉店を告知する公式発表は確認できない。公式サイトでは11月の催事や営業時間が案内されており、営業を継続している。
Q2:泉北高島屋と堺高島屋は同じ店舗ですか?
A2:別の店舗だ。泉北店は堺市南区茶山台にあり、堺店は堺市堺区三国ヶ丘御幸通にあった。堺店は2026年1月7日に営業を終了したが、泉北店は営業を継続している。
Q3:泉北高島屋の2026年春の16店舗改装は閉店準備ですか?
A3:閉店準備ではない。髙島屋が2026年2月25日に発表した売場リニューアル計画で、新規9店舗と既存7店舗の改装を実施する内容だった。ファッション、化粧品、食品、喫茶などの売場が対象となった。
まとめ:泉北高島屋は閉店ではなく2026年の売場再編が焦点
泉北高島屋の閉店説について、2026年11月1日時点の公式情報を確認すると、全館閉店が決定した事実は確認できない。2026年1月7日に営業を終了したのは、同じ堺市内にあった高島屋堺店であり、泉北店とは別の店舗だ。
泉北店では2026年春に16店舗の新規出店・改装が進められ、ファッションや化粧品、食品などの売場が再構成された。一方で、売上高は約151億円から約147億円、2026年2月期には約145億円へと推移しており、今後の経営動向には注意が必要だ。
パンジョや近畿大学医学部・近畿大学病院の移転など、泉ケ丘周辺には新しい商業需要につながる要素もある。今後は改装の効果や地域の人の流れが、泉北高島屋の集客力を左右することになる。
現時点での判断は「泉北高島屋は営業継続中。閉店決定の公式発表はなく、2026年は売場の再編と地域密着型の店舗づくりが進んだ」というものだ。閉店の噂に惑わされず、今後も髙島屋の公式発表と決算情報を確認することが、正確な状況を把握する一番の方法となる。