【第二ボタンの意味とは?】心臓に近い場所にあるから好きな人に贈る

目次

第二ボタンとは、男子生徒が着用する詰襟学生服(学ラン)の前身頃に並ぶボタンのうち、上から2番目に位置するボタンのことだ。

卒業式で第二ボタンを贈る習慣には、主に次のような意味がある。

1. 心臓に近いから「自分の心を渡す」

第二ボタン

最もよく知られているのが、第二ボタンは心臓に近い場所にあるため、自分の心や愛情を相手に渡すという説だ。

制服を着ている本人の胸元にあるボタンを相手に贈る行為は、単なる記念品の交換ではない。自分の一部を大切な人に託すという、象徴的な意味を持つ。

特に、卒業後は別々の学校や進路に進むことも多い。もう毎日顔を合わせられなくなる相手に、思いを形として残すには、小さなボタンが適していた。

2. 「一番大切な人」を表すという説

もう一つは、学ランの5つのボタンに、それぞれ人間関係上の意味を持たせる考え方だ。

ボタン 伝えられている意味
第一ボタン 自分自身
第二ボタン 一番大切な人
第三ボタン 友人
第四ボタン 家族
第五ボタン その他の人

この解釈では、第二ボタンは自分にとって最も大切な存在を象徴する。

そのため、好きな人に第二ボタンを渡すことは、「あなたは自分にとって特別な人」という気持ちを伝える行為になる。

ただし、この5つの意味は全国共通の制服規則や正式な決まりではない。風習の中で語り継がれてきた象徴的な解釈だ。

3. 卒業後も思い出を残せるから

第二ボタンの魅力は、アクセサリーや花束と違い、相手が実際に3年間着用してきた制服の一部である点にもある。

毎日の通学、体育祭、文化祭、修学旅行など、学校生活の記憶が詰まった制服。そのボタンを受け取ることは、相手と過ごした時間を手元に残すことにもつながる。

つまり、第二ボタンには恋愛感情だけでなく、友情や感謝、別れを惜しむ気持ちも重なっている。

【第二ボタンの由来を徹底検証】戦時中の説と1960年の映画に注目

第二ボタンの風習がいつ、どこで始まったのかについては、複数の説が語られている。

なかでも注目したいのが、戦時中の形見説と、1960年公開の映画をきっかけとする説だ。

戦時中に大切な人へ形見を渡したという説

第二ボタンの由来として広く知られているのが、戦時中の若者が出征前に大切な人へ軍服のボタンを渡したという話だ。

戦地へ向かう若者にとって、帰還できる保証はなかった。そこで、愛する人や家族に自分の存在を残すため、身に着けていた服の一部を渡したという。

この話には、第二ボタンを選んだ理由についても説明がある。

- 第一ボタンを外すと襟元が開いて目立つ。
- 第二ボタンなら制服の見た目を大きく変えずに済む。
- 胸元にあるため、心臓や命を象徴するものとして受け止められる。

ただし、戦時中の形見の習慣が、そのまま全国の卒業式へ広がったという経緯を裏付ける一貫した歴史記録は確認されていない。

1960年公開の映画『予科練物語 紺碧の空遠く』がきっかけという説


1960年4月1日公開・松竹映画
獅子文六の小説『一号倶楽部』を原作とし、井上和男が監督、松山善三が脚色した作品。

この映画には、戦地へ赴く青年が思いを寄せる女性に、自分の制服の第二ボタンを渡す場面が登場する。

映画の監督である井上和男は、後年の自伝で、この場面について第二ボタンを主人公の心臓に近いもの、つまり心を象徴するものとして描いた趣旨を説明している。

2017年3月8日放送の名古屋テレビ「ドデスカ!」の調査企画でも、この監督の回想が紹介された。

この映画説は、第二ボタンの意味を考えるうえで具体的な作品と制作関係者の証言が結び付いている点が興味深い。

ただし、映画が卒業式の風習の唯一の発祥だったと断定することはできない。

武田泰淳の小説が由来という話は本当?

ここで注意したいのが、作家の武田泰淳にまつわる説だ。

インターネット上では、武田泰淳の小説に、戦地へ赴く弟が兄嫁に第二ボタンを渡すエピソードが登場し、それを教師が生徒に伝えたことで風習が広まったという話が紹介されることがある。

しかし、この説には重大な誤解がある。

2007年発行の上田女子短期大学附属図書館報『みすず』に掲載された長田真紀教授の論考「武田泰淳と都市伝説」は、このエピソードは武田泰淳の小説には存在しないと指摘している。

武田泰淳には実際に『第一のボタン』という作品があるが、こちらは軍事国家や兵器をめぐる風刺的な小説で、学生服の第二ボタンとは関係がない。

作品名に「ボタン」が含まれていることなどから、別の話と混同された可能性が指摘されている。

第二ボタンの由来に関係する人物・作品の関係表

関連する存在 第二ボタンとの関係 確認できる内容
獅子文六 映画の原作者 『一号倶楽部』を執筆
井上和男 映画監督 第二ボタンを心の象徴として描写
『予科練物語 紺碧の空遠く』 映画作品 1960年4月1日公開
武田泰淳 誤って結び付けられた作家 『第一のボタン』は制服の風習と無関係
詰襟学生服 風習の対象 心臓に近い位置のボタンが象徴となった

このように、第二ボタンの文化には、映画、戦争の記憶、文学作品の誤解など、異なる背景が重なっている。

【第一ボタンと第二ボタンの違い】学ランの詰襟でなぜ2番目なのか

第二ボタンの意味を理解するには、学ランの構造にも注目したい。

詰襟学生服は、首元まで襟が立ったデザインで、前身頃に複数のボタンが縦に並んでいる。

第一ボタンは襟元、第二ボタンは胸元

第一ボタンは襟のすぐ下に位置する。一方、第二ボタンはその下の胸に近い位置にある。

第二ボタンが選ばれたとされる理由は、次のように整理できる。

比較項目 第一ボタン 第二ボタン
位置 襟元に近い 胸元に近い
象徴的な意味 自分自身という解釈もある 大切な人・心の象徴
心臓との距離 第二ボタンより離れている 第一ボタンより近い
恋愛風習 第二ボタンほど定着していない 好きな人に贈る定番

重要なのは、第二ボタン自体に特殊な素材や機能があるわけではないということだ。

KSB瀬戸内海放送が2024年3月20日に公開した制服に関する取材記事では、菅公学生服の企画推進部長も、心臓に近い場所にあることが理由として考えられると説明している。

なぜ学ランでこの風習が広がったのか

詰襟学生服は、明治時代に導入された西洋式の軍服を参考にしたデザインとして知られる。

岡山県アパレル工業組合の学生服に関する解説によれば、明治政府は近代化の一環としてヨーロッパ式の服装を取り入れ、詰襟の制服を採用していった。

学ランが長く男子学生の象徴だったことも、第二ボタンの風習が広がる背景になったと考えられる。

ブレザーでは第二ボタンを渡さないの?

ブレザーの場合もボタンはあるが、詰襟とはデザインが異なる。

ジャケットによってボタンの数や配置、胸元との位置関係が違うため、昔ながらの第二ボタンの意味をそのまま当てはめにくい。

そのため、ブレザーを採用する学校では、ネクタイやリボン、校章、名札などが思い出の品として交換されることもある。

第二ボタンという特定のアイテムから、制服そのものに思いを託す文化へと形が変わっているのだ。

【第二ボタンを渡す心理・もらう意味】脈ありサインはどこで見分ける?

第二ボタンの風習で最も気になるのが、渡す側と受け取る側の心理だろう。

好きな人から第二ボタンをもらった場合、それは告白と同じ意味なのか。反対に、男子生徒が自分から第二ボタンを渡した場合、恋愛感情があると考えてよいのだろうか。

第二ボタンを渡す側の心理

第二ボタンを渡す側には、いくつかの気持ちが考えられる。

1. 好きな人に気持ちを伝えたい

最も分かりやすいのが恋愛感情だ。

直接告白する勇気がなくても、自分の第二ボタンを渡すことで、相手に特別な気持ちを伝えられる。

2. 卒業後も自分を覚えていてほしい

卒業後に会う機会が減ることを考え、記念としてボタンを渡すケースもある。

ボタンを持っていてもらうことで、自分と過ごした学校生活を思い出してほしいという心理だ。

3. 相手との関係を大切にしたい

必ずしも恋愛とは限らない。

仲の良い友人や後輩に、感謝や親しみを込めて制服の一部を渡すことも考えられる。

第二ボタンをもらう側の心理

一方、第二ボタンを欲しいと思う側には、次のような気持ちがある。

- 好きな人との思い出を残したい。
- 相手にとって特別な存在になりたい。
- 卒業後も相手とのつながりを感じていたい。
- 自分の好意を間接的に伝えたい。
- ずっと憧れていた先輩の記念品が欲しい。

第二ボタンをもらうという行為は、相手への好意を表す場合もあれば、純粋に青春の記念品を残したいという場合もある。

第二ボタンは脈ありサイン?判断したい5つのポイント

第二ボタンを渡されたからといって、必ず恋愛感情があるとは限らない。

脈ありかどうかを考える際は、渡された状況や相手の普段の態度も合わせて見る必要がある。

相手の行動 脈ありの可能性 判断のポイント
自分から第二ボタンを渡してきた 比較的高い 特別な相手として選んだ可能性
好きかどうかを尋ねてきた 高い 恋愛感情を伝えたい可能性
他の人には渡さず自分だけにくれた 比較的高い 特別扱いしている可能性
友人全員にボタンを配っていた 判断しにくい 卒業記念の可能性
付き合っている相手に渡した 恋愛的な意味が強い 関係を形に残す行為

特に注目したいのは、相手が自分だけに第二ボタンを渡してきたかどうかだ。

ただし、これはあくまで行動から考えられる可能性であり、確実な恋愛感情の証明ではない。

本当の気持ちを知りたいなら、第二ボタンだけで判断せず、その後の連絡や会話、本人の言葉を大切にしたい。

第二ボタンはいつ渡す?卒業式当日のタイミング

一般的には、卒業式が終わった後の別れの時間に渡すことが多い。

特に、次のようなタイミングが考えられる。

- 卒業証書を受け取った後
- 校門や校舎前で記念撮影をするとき
- 友人や先生への挨拶が終わった後
- 最後に好きな人と話す時間ができたとき

卒業式の直後は、友人や保護者、先生など多くの人が集まる。人目が気になる場合は、落ち着いて話せるタイミングを選ぶのもよい。

また、第二ボタンを渡すときに「卒業しても忘れないでね」「ずっと好きだった」など、自分の気持ちを言葉にすれば、相手にも意図が伝わりやすい。

無理にボタンを渡す必要はなく、相手が望んでいるかを確認することも大切だ。

【第二ボタンをもらえなかった理由】好きな人から受け取れないのは脈なし?

卒業式の思い出として、第二ボタンをもらいたかったのに受け取れなかった人もいるだろう。

しかし、第二ボタンをもらえなかったことだけで、相手に好かれていなかったと判断するのは早い。

考えられる理由はいくつかある。

1. 相手に渡す勇気がなかった

好きな人がいても、自分から気持ちを伝えることは簡単ではない。

周囲の友人に見られることを恥ずかしく感じたり、断られることを恐れたりして、結局何もできなかった可能性もある。

2. すでに別の人に渡していた

第二ボタンは数に限りがある。

交際相手や仲の良い友人、後輩などにすでに渡してしまい、欲しい人に渡せなかったというケースも考えられる。

3. 制服を手元に残したかった

卒業後も制服を保管したい人や、進学先で引き続き着用する予定がある人もいる。

その場合、第二ボタンを外すことに抵抗を感じることもある。

4. 第二ボタンの風習に興味がなかった

学校や地域、世代によって、第二ボタンに対する認識は異なる。

そもそも風習を知らなかったり、卒業式の記念品として別のものを大切にしていたりする場合もある。

第二ボタンをもらえなかったからといって、必ずしも失恋を意味するわけではない。

卒業式の一日だけで、それまで築いてきた関係や相手の気持ちを決めつける必要はないだろう。

【2026年最新】第二ボタンの風習は現在も残っている?中高生1,200人の調査結果

2026年最新調査

第二ボタンは昭和・平成の青春文化という印象が強いが、2026年の中高生にも知られている。

その実態を示すのが、学生服メーカーの菅公学生服株式会社が2026年1月に実施した全国の中学生・高校生1,200人を対象とするインターネット調査だ。

第二ボタンの認知度は80.6%

カンコー学生服が2026年2月に公表した調査結果によると、第二ボタンを贈る風習について「知っている」と回答した割合は、全体の80.6%だった。

男女別では女子が86.0%、男子が75.2%。女子の方が風習を知っている割合が高い。

また、実際に卒業式で渡したり、もらったりするアイテムとして第二ボタンを挙げた割合は27.2%だった。

中学生では30.8%と、高校生よりも高い割合を示している。

第二ボタンは過去の青春ドラマにしか登場しない文化ではなく、2026年にも一定の存在感を保っている。

卒業式に渡すものランキング

2026年の調査では、第二ボタン以外にもさまざまな贈り物が選ばれている。

順位 贈り物 割合
1位 手紙・メッセージカード 37.4%
2位 第二ボタン 27.2%
3位 写真・動画 23.8%
4位 花束 23.6%
5位 お菓子 22.0%

さらに、風船・バルーンブーケが12.8%、ネクタイ・リボンが10.1%、校章・名札が8.8%となっている。

注目したいのは、第二ボタンが現在も上位に入っている一方、手紙や写真など、別の方法で気持ちを伝える人も多いことだ。

卒業式は告白のタイミングとしても意識されている

同じ2026年のカンコー学生服の調査では、卒業式に好きな人へ告白すると回答した割合は全体で12.0%だった。

特に女子中学生では18.7%に達している。

卒業という節目は、これまで言えなかった気持ちを伝えるきっかけにもなっているようだ。

ブレザー世代ではネクタイやリボンが新しい記念品に

現在は、学ランだけでなくブレザーを制服として採用する学校も多い。

KSB瀬戸内海放送の2024年の取材では、ブレザーの普及によって、第二ボタンの代わりにネクタイやブレザーそのものを贈る学校もあることが紹介された。

2026年の調査でも、ネクタイ・リボンや校章・名札の交換が確認されている。

これは、制服のデザインが変化しても、学校生活の思い出を身近な人と共有したいという気持ちが残っていることを示している。

第二ボタンは恋愛のおまじないになる?

第二ボタンには、好きな人からもらうことで両思いになれる、恋愛が成就するというおまじない的な解釈もある。

ただし、これは恋愛にまつわる言い伝えやロマンチックな楽しみ方であり、実際に恋愛成就を保証するものではない。

大切なのは、ボタンそのものに不思議な力があると考えることではなく、そこに込められた気持ちを大事にすることだ。

【第二ボタンに関するよくある質問(FAQ)】

Q1:第二ボタンはなぜ第一ボタンではなく2番目なの?

第二ボタンが心臓に近い位置にあるため、自分の心や愛情を渡すという意味があるとされている。また、映画『予科練物語 紺碧の空遠く』にも、第二ボタンを心の象徴として渡す場面が登場する。

Q2:好きな人から第二ボタンをもらったら脈あり?

脈ありの可能性はある。特に、自分だけに渡してくれたり、好意を伝える言葉が添えられていたりする場合は、恋愛感情が込められている可能性が高まる。ただし、卒業記念や友情の意味もあるため、本人の言葉や普段の態度も確認したい。

Q3:2026年現在も第二ボタンを渡す風習はある?

ある。2026年1月の全国中高生1,200人調査では、風習の認知度が80.6%、卒業式に第二ボタンを渡したり、もらったりする割合は27.2%だった。手紙やネクタイ、リボンなどを贈る形も広がっている。

まとめ:第二ボタンは卒業の日に大切な人へ想いを託す青春の象徴

第二ボタンは、単なる制服の部品ではない。

心臓に近い位置にあることから「自分の心を渡す」という意味が生まれ、戦時中の別れの物語や1960年公開の映画『予科練物語 紺碧の空遠く』などを通じて、卒業式を象徴する風習として知られるようになった。

もちろん、その起源を一つの出来事に限定することはできない。しかし、好きな人に自分の制服の一部を贈るという行為には、言葉だけでは伝えきれない気持ちが込められている。

2026年の調査でも、第二ボタンの風習を知る中高生は約8割に達している。手紙や写真、ネクタイ、リボンなど、贈り物の形は多様になっているものの、卒業という節目に大切な人へ気持ちを伝える文化は続いている。

第二ボタンをもらえたかどうかだけが、青春の価値を決めるわけではない。

好きな人に渡した勇気も、受け取ったときの喜びも、渡せなかった後悔も、すべてが卒業という人生の節目に残る大切な記憶だ。

時代が変わり、制服の形が変わっても、大切な人とのつながりを何かの形に残したいという気持ちは、これからも受け継がれていくだろう。