【開催概要】2023年11月15日、鎌ケ谷スタジアムで開催
2023年の12球団合同トライアウトは、11月15日(水)に開催された。会場は北海道日本ハムファイターズのファーム施設である千葉県鎌ケ谷市のファイターズ鎌ケ谷スタジアム。午前10時30分からシート打撃が始まり、投手と野手がそれぞれの持ち味をアピールした。
参加した59人の中には、NPBで一軍経験を持つ選手だけでなく、すでにプロ球団を離れて独立リーグや軟式野球でプレーしていた選手も含まれていた。
当日は入場券が完売し、球場には2,304人の観客が来場。プロ・アマ合わせて159人のスカウトも視察に訪れた。選手にとっては次の所属先を探すための重要な機会であり、ファンにとっても長年応援してきた選手の再挑戦を見届ける場となった。
開催当日の報道によると、巨人とヤクルトからは各8人が参加し、球団別では最多だった。一方、中日は伊藤康祐の1人のみ。球団によって参加人数に大きな差があったことも特徴だ。
なお、トライアウトは公式戦ではない。試合形式のシート打撃を通じて選手の現在の状態を確認する場であり、通常の公式戦と同じ勝敗や順位を競うものではない。
当日の参加状況や観客数については、日刊スポーツ、デイリースポーツなどの報道でも確認できる。
【全59人】プロ野球トライアウト2023の参加選手一覧

2023年のトライアウトには、投手41人、捕手5人、内野手5人、外野手8人の計59人が参加した。
阪神の高山俊、ソフトバンクの高橋純平、ロッテの福田秀平、広島の薮田和樹など、過去に一軍で活躍した選手の名前も並んだ。
以下は、当時の参加者を守備位置別に整理した一覧だ。
投手(41人)
阿部剣友、井口和朋、引地秀一郎、岡本直也、加藤大、笠原祥太郎、吉田大喜、吉田凌、久保拓眞、行木俊、高橋純平、高山優希、高田萌生、高田竜星、佐藤奨真、佐藤智輝、坂本工宜、山口翔、山川晃司、山本一樹、市川悠太、成田翔、西浜勇星、石田駿、多和田真三郎、太田龍、池谷蒼大、中塚駿太、中道佑哉、張奕、辻垣高良、田中健二朗、田中豊樹、渡辺雄大、土居豪人、姫野優也、福森耀真、平田真吾、薮田和樹、立野和明、鈴木裕太。
捕手(5人)
居谷匠真、谷川唯人、中川拓真、釣寿生、松井聖。
内野手(5人)
園部佳太、折下光輝、速水将大、中山誠吾、田中俊太。
外野手(8人)
伊藤康祐、高山俊、佐藤優悟、西川僚祐、早真之介、中山翔太、福田秀平、保科広一。
以上が59人の参加者だ。なお、高山俊と高山優希は別の選手である。前者は阪神の外野手、後者は日本ハムに在籍した左腕投手で、名前の混同には注意したい。
参加者一覧はデイリースポーツの当日報道や、スポーティングニュースの参加選手まとめなどでも確認できる。
【結果と合格率】NPB復帰は59人中わずか2人だった
2023年のトライアウトで最も注目すべき結果は、参加59人のうちNPB球団との契約に至った選手が2人だったことだ。
該当するのは、元日本ハムの井口和朋と元オリックスの吉田凌。2人とも育成契約から再スタートを切った。
59人中2人という数字を割合に換算すると、約3.4%になる。これは公式に定められた合格率ではなく、トライアウト参加者のうちNPB球団との契約を得た人数から計算した参考値だ。
フルカウントが2023年12月8日に配信した記事でも、NPB復帰者は井口と吉田の2人と報じられた。前年は49人中4人がNPBに復帰しており、2023年は数字のうえでも厳しい結果となった。
シート打撃で注目された選手と結果
トライアウト当日は、カウント1ボール1ストライクから始まるシート打撃形式で実施された。投手は打者との対戦を通じて球速や制球、変化球の精度を示し、野手は打撃や走塁でアピールした。
特に注目を集めた選手は次の通りだ。
- 井口和朋(投手):打者3人を無安打に抑え、2三振を奪取。最速146キロを記録。
- 吉田凌(投手):2者連続三振を奪い、投球能力をアピール。
- 高山俊(外野手):5打数2安打2四球1盗塁。右中間への二塁打も放った。
- 園部佳太(内野手):3安打を記録し、打撃面で存在感を示した。
- 太田龍(投手):3者連続空振り三振を奪う好投を披露。
この結果を見ると、複数の選手が目立ったパフォーマンスを残していたことが分かる。しかし、NPB復帰という結果に結び付いたのは2人だけだった。
井口の投球内容はスポーツ報知、吉田の投球と契約はパ・リーグ関連報道、野手の成績は日刊スポーツやデイリースポーツの当日速報で報じられている。
【その後を徹底追跡】井口和朋・吉田凌・高山俊の進路と2026年現在
2023年のトライアウトを振り返るうえで欠かせないのが、参加選手のその後だ。契約を獲得した2人と、好成績を残しながらNPB復帰がかなわなかった高山俊では、その後の野球人生が大きく異なっている。
井口和朋:日本ハム退団からオリックス、海外挑戦へ
2021年には43試合に登板し、防御率1.86、11ホールドを記録。リリーフとして重要な役割を担った実績がある。
しかし、2023年シーズンは一軍登板が5試合にとどまり、シーズン終了後に戦力外通告を受けた。
その後のトライアウトでは打者3人を無安打、2三振に抑える好投を披露。オリックスがその投球を評価し、2023年12月に育成選手として獲得した。
さらに2024年3月26日には支配下選手登録へ移行。背番号58を与えられ、再びNPBの一軍を目指せる立場を手にした。2024年は32試合に登板し、1勝2敗、3ホールドを記録している。
ところが、2025年は一軍登板が5試合に減少。防御率9.64という成績に終わり、同年10月にオリックスから戦力外通告を受けた。
その後、2025年のトライアウトにも参加。2026年はオイシックス新潟アルビレックスBCに所属し、3月にはメキシカンリーグのベラクルス・イーグルスへ移籍した。4月下旬にメキシコでの契約が終了した後、5月にはオイシックスと再契約している。
さらに2026年9月29日、オイシックスは井口の退団を発表した。本人は球団を通じて、次の挑戦としてオーストラリアリーグへの参戦を表明している。
つまり、2026年11月現在の井口はNPB球団に所属しているわけではなく、国内独立系球団とメキシコでの経験を経て、海外でのプレーを目指す段階にある。
日本ハムでの戦力外からオリックスで支配下復帰を果たし、さらに海外へ挑戦する井口の歩みは、トライアウトが野球人生の終点ではなく、再出発のきっかけになり得ることを示している。
オリックスの支配下登録発表と、オイシックスの2026年9月の退団発表が、この経歴を裏付けている。
吉田凌:ロッテで支配下復帰、その後プロ野球を引退
2023年シーズンは19試合に登板し、防御率3.24、4ホールドを記録。しかし、チームの戦力構想から外れ、シーズン終了後に戦力外通告を受けた。
11月15日のトライアウトでは2者連続三振を奪い、持ち味のスライダーなどでアピールした。
その後、ロッテが11月23日に非公開の入団テストを実施。評価を受け、育成契約を結ぶことになった。重要なのは、ロッテとの契約がトライアウト当日の直接的な合格発表によるものではなく、その後の球団独自のテストを経た結果だったという点だ。
2024年5月31日には支配下登録へ昇格。育成契約から再び一軍を目指す立場を獲得した。
ただし、同年の一軍登板は9試合にとどまり、シーズン終了後に再び戦力外通告を受けた。
そして2025年1月4日までに、自身のSNSを通じてプロ野球生活を終了したことを報告した。本人はプロ野球選手としての生活には区切りをつける一方、野球そのものは別の形で続けていく意向を示している。
したがって、吉田凌は2023年のトライアウトをきっかけにNPB復帰を実現したものの、2026年現在はプロ野球選手としての現役生活を終えている。
高山俊:2安打の好結果もNPB復帰ならず
明治大学時代から高い打撃能力で注目され、2016年には新人王を獲得。プロ1年目は134試合に出場し、打率.275、136安打を記録した。
しかし、その後は一軍での出場機会が減少。2023年シーズン終了後に阪神から戦力外通告を受けた。
トライアウトでは、5打数2安打2四球1盗塁と好成績を残した。特に右中間への二塁打は観客の注目を集め、最後までプロでプレーしたいという意欲を示す結果となった。
それでもNPB球団との契約には至らなかった。
その後、高山は2024年からオイシックス新潟アルビレックスBCに加入。2026年10月28日時点でも、球団公式プロフィールに外野手として掲載されている。
2026年現在も野球を続けており、NPB以外の舞台でプレーする選択をしている。阪神時代の新人王という実績を持つ選手が、プロ野球の枠組みを越えて現役を続けている点は注目に値する。
注目選手の関係・その後を一覧で比較
2023年のトライアウト参加者のうち、特に検索されることの多い選手の経歴と、その後の進路を整理した。
この比較から分かるのは、トライアウト後の進路がNPB復帰だけではないということだ。育成契約、独立リーグ、海外リーグ、現役引退など、それぞれの選手が異なる選択をしている。
特に井口と吉田は同じ2023年のNPB復帰者でありながら、その後のキャリアは大きく分かれた。トライアウトで契約をつかむことと、NPBで長くプレーし続けることは別の課題なのである。
【なぜ合格率は低い?】トライアウトで好成績を残しても契約できない理由
2023年のトライアウトでは、高山俊が2安打を放ち、園部佳太も3安打を記録した。投手でも太田龍が3者連続三振を奪うなど、印象的な結果を残した選手は複数いた。
それにもかかわらず、NPB復帰は2人だけだった。なぜこれほど厳しい結果になるのだろうか。
1. 球団はトライアウト以前から選手を評価している
トライアウトは、球団が初めて選手を知るための唯一の機会ではない。
各球団の編成担当者やスカウトは、シーズン中の一軍・二軍の試合、練習、故障からの復帰状況などを確認している。選手の能力や起用可能性について、すでに情報を持っているケースも多い。
2024年のNPBと選手会の協議でも、各球団がシーズン中からファームを含めて選手をチェックする体制を整えていることが、合同トライアウトの必要性を考える背景として報じられた。
2. 一度のシート打撃では分からない能力がある
トライアウトでの好結果は重要だが、それだけでシーズンを通して活躍できるかは判断できない。
投手であれば、球速だけでなく、連投への対応、変化球の精度、故障歴、投球フォームの安定性などが評価対象になる。
野手についても、安打数だけでは守備力や走塁能力、対戦相手への対応力を十分に判断できない。複数の試合で安定して結果を残せるかが重要になる。
3. 球団の補強ポイントと一致する必要がある
どれほど実績のある選手でも、球団が必要とするポジションや役割に合わなければ契約にはつながりにくい。
例えば、救援投手が不足している球団と、外野手の補強を優先する球団では、同じ選手を評価しても獲得の判断が異なる。
年齢や年俸、育成枠の人数、若手選手の育成計画なども関係する。選手本人の能力と球団側の事情が一致して、初めて契約が成立する。
4. 育成契約も再起の重要な選択肢
井口和朋と吉田凌が結んだのは、最初から支配下選手としての契約ではなく育成契約だった。
育成契約では、まず球団の育成方針のもとで実力を示し、支配下登録を目指すことになる。契約を得たこと自体は大きな前進だが、そこから一軍で活躍できるかどうかは別問題だ。
2人は実際に支配下登録までたどり着いたが、その後も厳しい競争に直面した。この経過こそ、トライアウトの難しさを物語っている。
【仕組みと開催経緯】2025年から日本プロ野球選手会が主催へ
12球団合同トライアウトは、戦力外通告を受けた選手などに再入団の機会を提供するための制度だ。
その始まりは2001年オフ。日本野球機構(NPB)の記録によると、10月30日にナゴヤ球場で初めて開催され、同年11月26日にはジャイアンツ球場でも実施された。
その後、毎年秋のプロ野球界の恒例行事として定着。戦力外通告を受けた選手がNPB復帰を目指す重要な舞台となってきた。
2023年までの基本的な仕組み
従来の合同トライアウトでは、自由契約などで所属球団を離れた選手が参加し、シート打撃形式でプレーを披露する。
投手は打者との対戦で球速、制球、変化球をアピールし、野手は打撃、守備、走塁などで実力を示す。視察する球団関係者は、その結果を獲得判断の材料として利用する。
ただし、トライアウトで成績が良かった選手を機械的に合格とする制度ではない。最終的な獲得判断は各球団が行う。
2024年に開催方式の見直しが議論された
2024年8月にはNPBと日本プロ野球選手会の事務折衝で、翌年以降の開催の可否や方法が議論された。
背景には、球団側がシーズン中から選手のプレーを確認できるようになり、合同トライアウトを通じた獲得の機会が以前より少なくなっていた事情がある。
同年12月5日、日本プロ野球選手会は2025年から主催を引き継ぐ方針を決定した。従来の12球団持ち回りによる開催は2024年までとなった。
2025年は選手会主催で再出発
2025年には「エイブル トライアウト2025〜挑め、その先へ〜」として新たな体制で開催された。
開催日は2025年11月12日、会場は広島県のMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島。日本プロ野球選手会が単独で主催し、参加者は38人だった。
従来のNPB復帰を目指す場という役割に加えて、プロ野球を離れた後のセカンドキャリア支援も意識した取り組みが掲げられた。
日本プロ野球選手会の公式発表でも、選手に再アピールの機会を提供することと、野球界を離れた後のキャリアを支援することが開催目的として説明されている。
2023年のトライアウトはNPBと選手会が共同で実施していた従来型の開催方式の中に位置付けられる。2025年以降は主催主体が変わったため、参加人数や開催形式だけでなく、イベントの目的そのものにも変化が生じている。
【プロ野球トライアウト2023】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:プロ野球トライアウト2023はいつ、どこで開催されましたか?
A1:2023年11月15日(水)、千葉県鎌ケ谷市のファイターズ鎌ケ谷スタジアムで開催されました。59人が参加し、午前10時30分からシート打撃が行われました。
Q2:2023年のトライアウトからNPBに復帰した選手は誰ですか?
A2:元日本ハムの井口和朋と、元オリックスの吉田凌です。井口はオリックスと育成契約、吉田はロッテと育成契約を結びました。
Q3:2023年のトライアウト合格率は何%ですか?
A3:59人中2人がNPB球団との契約に至ったため、計算上の割合は約3.4%です。ただし、これは公式な合格率ではなく、NPB復帰者数を参加人数で割った参考値です。
Q4:高山俊はトライアウト後どうなりましたか?
A4:トライアウトで5打数2安打2四球1盗塁を記録しましたが、NPB復帰には至りませんでした。2024年からオイシックス新潟アルビレックスBCに加入し、2026年10月時点でも同球団の選手として活動しています。
Q5:井口和朋は2026年現在どこでプレーしていますか?
A5:2026年はオイシックス新潟アルビレックスBCとメキシカンリーグのベラクルス・イーグルスでプレーしました。9月29日にオイシックスからの退団が発表され、次はオーストラリアリーグへの挑戦を表明しています。
Q6:吉田凌はプロ野球を引退したのですか?
A6:はい。ロッテで2024年に支配下登録された後、同年オフに戦力外通告を受けました。2025年1月に自身のSNSでプロ野球生活を終了したと報告しています。ただし、野球自体は別の形で続ける意向を示しています。
Q7:2025年以降のトライアウトもNPBが主催していますか?
A7:いいえ。2025年からは日本プロ野球選手会が主催を引き継ぎました。2025年は広島のマツダスタジアムで11月12日に開催されています。
まとめ:【プロの結論】トライアウトは野球人生をつなぐ再挑戦の舞台
2023年のプロ野球12球団合同トライアウトは、11月15日にファイターズ鎌ケ谷スタジアムで開催され、59人が参加した。
NPB復帰を果たしたのは井口和朋と吉田凌の2人で、参加者に対する割合は約3.4%。育成契約から支配下登録を勝ち取った2人も、その後はそれぞれ異なる道を歩んでいる。
井口はオリックスでの再起を経て、2026年にはメキシコやオイシックスでプレーし、オーストラリアリーグへの挑戦を表明。吉田は2025年にプロ野球選手としての生活に区切りをつけた。一方、高山俊はオイシックスで現役を続けている。
この3人の経歴から見えてくるのは、トライアウトの価値をNPB復帰の人数だけで判断することの難しさだ。
プロ野球選手として再び契約を勝ち取ることはもちろん大きな目標だが、独立リーグや海外リーグでプレーを続けることも、野球人生の新たな選択肢となる。競技から離れる決断をした選手にとっても、最後まで自分の実力を示す機会には意味がある。
2025年から日本プロ野球選手会が主催を引き継いだことも、トライアウトの役割が変化していることを示している。NPB復帰だけでなく、その先の野球人生やセカンドキャリアまで視野に入れた制度として、今後の展開が注目される。
2023年の59人が示したのは、わずかな契約枠を巡る厳しい競争だけではない。何度戦力外を経験しても、別の舞台で再び挑戦する選手たちの姿こそ、プロ野球トライアウトが持つ本質的な意味なのである。
主な参考資料:日本野球機構(NPB)公式記録・選手登録公示、北海道日本ハムファイターズおよびオリックス・バファローズの球団発表、日本プロ野球選手会公式発表、オイシックス新潟アルビレックスBC公式発表、日刊スポーツ、デイリースポーツ、スポーツ報知、Full-Count。